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ナーシェルと不思議な仲間たち

  • 2019年9月26日
  • 2020年2月24日
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 トランプ兵は横二列にずらずらならんだ。
 切るかわりに、でたらめにうごいて、どのカードがどこにいるかわからなくさせるのだ。
 交換なしの一発勝負。しかも、いちど勝負につかったトランプは二度とつかえない。負けたトランプは相手にとられ、最後に多いほうが勝ちだ。
 そうこうするうち、見物人はますます増えて、ざわざわあたりが騒がしくなった。
「これだけみている人が多かったら、インチキなんてできないよね」
 ナーシェルが不安そうにネッチたちをみあげた。
 ようやく用意がおわって、ダンカンとナーシェルたちは、道の中央でうしろにトランプ兵をならべてにらみ合った。
「そいつとそいつとそいつ、それにそいつとそいつ、前に出ろっ」
 まずは、ダンカンがこちらのトランプをゆびさした。それまでじっと並んでいた五人のトランプ兵が、のっしのっしと前に出る。
 といっても、ナーシェルたちのうしろに立っているので、どのカードかはわからない。
 ダンカンはいったいどのカードを選んだんだろう?
 見物人のささやき声が、いやに気になってくる。わらっているところをみると、あまり強くはなさそうだ。
「さぁ、そっちの番だぞっ」
 と、ダンカンが大声をはり上げた。
 ナーシェルはどきどきしながら手を挙げて、
「そいつとそいつとそいつとそいつ、それにそいつ。前にでろっ」
 と、おなじように指でさした。
 ダンカンのトランプ兵が、のそのそと進みでてくる。ナーシェルたちは緊張のあまり心臓がドキドキした。
 ダンカンが、
「もう一歩だ」
 と言うと、二組のトランプ兵は、それぞれナーシェルとダンカンの前に出ていった。
 トランプ兵は後向きに歩いているので、自分たちのカードが見えた。
 ハートの6と7。それにクローバの6に、クラブの4、ダイヤの7であった。
 ミッチがネッチの耳にささやいた。
「ツーペアだっ」
 ネッチが無言でうなずく。
 ナーシェルが不安そうな表情でふりむいた。
「強いの?」
 どうやらナーシェルはあまりポーカーを知らないようだ。
 ネッチたちはなんとも答えることができなかった。実は、ツーペアはそんなに強くない。
「さてと、決着をつけようかねぇ」
 ダンカンがもみ手をしながら言った。
「表を向けぇい」
 ダンカンが両手をふりあげると、トランプたちはくるりと右回りした。
 ナーシェルのトランプがこちらに絵柄をむけ、ダンカンのトランプ兵が数字をみせる。
「あっ」
 と、ネッチとミッチは、声を上げてさけんでしまった。ダンカン側は、なんとフォーカードである。
「ツーペアにフォーカード。俺の勝ちだな」
 ダンカンがにやりと笑った。
 負けたトランプ兵が、勝ったがわに連行されていく。
「負けちゃったの?」
 ナーシェルがふっくらした眉を、いっぱいしかめてふりむいた。
「次だ、次!」
 ネッチとミッチはやけくそになって叫んでいた。

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