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ナーシェルと不思議な仲間たち

  • 2019年9月26日
  • 2020年2月24日
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其の十 太陽と月の国

 月の王と太陽の王は、手をとりあって城のまえに立っていた。
 太陽と月の城は、篝火にてらされて、闇夜にうきたっている。門はおろされ、橋はかかったままだ。主人の帰りを、まっていたのである。
 太陽と月の国の住民たちが、あつまって城をみあげている。先頭にいるのは、ナーシェルとネッチたちだった。
「世話になったな。いろいろとすまなかった」
 月の王が、ふりかえってナーシェルたちをみた。
「太陽と月は、これでもとに戻るじゃろう。おぬしら、これからどうする」
 と太陽の王がきいた。
「北よりの道をとおって、雪と氷の国にちょくせつ行きます」
 と、ナーシェルがこたえた。
「そうか、雪と氷の国は極寒の地だ。女王の目的もわからん。気をつけていけ」
「はいっ」
 ナーシェルたちが返事をすると、二人の王さまは、太陽と月の城へときえていった。
「わぁっ」
 みんなは感嘆の声を上げた。
 太陽と月の国は、あれよあれよというまに光にみちていった。空は青くすみわたり、地上は色をつけてゆく。
 月の王がスキだった地上の景色が、また復活した。
 昼がもどり、太陽の王と月の王は、またもとのように仲よくなった。雨水の王はよろこび、ブリキの国にふらさせていた雨をとめた。
 城の窓から姿をみせたふたりの王に、群衆が歓声をおくっている。
 シッカたちが気づいたときには、ナーシェルたちの姿はなかった。

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