朗読連載完結! ながい坂/山本周五郎  朗読七味春五郎

完結しました! ながい坂

山本周五郎の最後の長編小説「ながい坂」ながいこの朗読も過日完結いたしました。

 

朗読連載 ながい坂。無事完結いたしました。視聴者のみなさん、応援ありがとうございました。
「小説は情況を書くのでなく、人間を描くものだ」
とおっしゃっていた山本先生。人生の晩年で、三浦主水正の生き様を見事描き抜かれたのではないでしょうか?
☆ながい坂 の再生リストつくりました。 https://www.youtube.com/watch?v=aAxlB…
 最終巻では、主水と兵部がいよいよまじわります。
 主水正が兵部を助けたのは、城代家老をやりぬくため、というのはもちろんですが、一番助けたかったのは、滝沢主殿かもしれません。
 主殿をすくうことで、いずれ訪れる未来の自分を、救ったのかもしれませんね。
 そして、三浦主水正を描くことで、山本周五郎は自身を救ったのかも、しれません。

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■下級武士の子として、生まれた小三郎は、世の理不尽に、幼き日から悩み暮らし、ある日を境に立身出世を志して、不条理に立ち向かっていく。  第一巻は、三浦主水正の少年時代を。藩校における上士、下士との対立。嫉妬や妨害にめげずに進む小三郎の姿が描き出されます。

 第一巻では、火災から、藩を巣くった主水正も、おつるさんにはかないません。はたして彼は、このじゃじゃ馬を御することができるのか!? という物語ではありません。

 

 青年になった三浦主水正は、長年あたためていた堰の工事に着手します。  もちろんそこには、五人衆らの妨害もありまして……  

 

 堰堤工事をすすめる主水正たちだが、五人衆の画策から、ななえとの再開を果たす。妨害を受けながらも、少しずつ形をなしてきた堰堤には、自然の脅威がせまっていた。

 

 堰堤工事をすすめる主水正たち。だが、江戸でどうやら政変の兆しがあり、事態は悪化しはじめる。五人の刺客がさしむけられ、工事も中止となってしまうが……

 

 堰堤工事は廃止となり、主水正は潜伏生活を余儀なくされる。五人の刺客は、ついに主水の居場所を見つけ出し……

 

 国に現れた殿は、本物なのか?謎を解くため、主水は、一人江戸に赴く。そこには幕府の陰謀と、江戸一派の謀反があった!

 

ながい坂の連載は、週刊新潮の誌上で始まりました。昭和三十九年六月から、四十一年の一月まで続きます。  前年の三十八年には、「さぶ」の連載が一月から七月まで。この年には講談社から全集が刊行されています。  マンネリを嫌って、常に新しいものを文体にも求めた周五郎にも晩年がせまってきます。  ながい坂の連載がはじまって半年後、階段で転んだ周五郎は肋骨を二本おってしまう。生来頑健であった周五郎も六十一才。このけがはこたえたらしく、「日本一の作家になると約束したが、とうとうなりそこなった」と夫人に弱音をこぼす。「このながい坂を仕上げたら、日本一になれるんじゃない? 元気をお出しなさい」とたしなめられる。「うん、そうだった。まだまだこんなところで終わっていられない」とまた原稿にむかうといった一幕もあったようだ。  このころは、仕事の量もずいぶん減って、ながい坂の連載しかない。新潮社も気を使って、お金を持って行かせるようなこともあった。税金にも気をつかわなくていいように、積み立てもしていたそうで、だから、新潮社でも死後に全集が出ている。仕事に集中できるよう、いろいろ配慮してくれた新潮社の気持ちにこたえた形のようだ。  この後、長編「おごそかな渇き」にとりかかるが、八回の連載を終えて、著者急逝のため、絶筆となってしまった。  国許にもどった主水は、曲町に帰ると、新政派とあいまみえる。一方、妻のつるとはついに雪解けになり。

 

 

 歴史小説――樅の木を書き終えた後、山本周五郎はそのジャンルから遠ざかってしまう。徳川家康、明智光秀を書きたいという思いはずっとあったらしい。けれど、体の衰えは、周五郎から時間と気力を奪ってしまった。本人のいう「重い小説」がいやになった周五郎は、フィクションとして時代小説として、自伝的な小説にとりかかった。徳川の家訓に、「人の世は重き荷をおいて、遠き道をゆくがごとし」があるが、なしえなかった仕事への思いが、この作品にはつまっているのかもしれない――

 

 長い朗読も、後一話、最終話を残すところのみとなりました。ながい坂は、山本周五郎にとって、樅の木につぐ長い長編となりました。

■樅の木は残った 第四部 第二巻 https://youtu.be/FplDtk76IWE

 とくに昭和四十年は、ながい坂のほかに小説をいっさい書かず、仕上がったあとは、一年間の休筆宣言をしたあと。  主人公の三浦主水正は、優秀かもしれなけれど、スーパーマンではない。苦悩多く、行き詰まってばかりいる、普通の人です。けれど、周囲の期待に応えよう、自分自身の期待に応えようと、粘り抜き頑張り抜き、自分自身の長い坂を一歩一歩上っていくことで、少しずつ自己形成をなしていきます。周五郎自身、作家としてはエリートではない。花開いたのも、ずいぶん後のことで、青ベかでは、山本周五郎翁(洒落斎)に、金をかりにいくエピソードが語られています。 https://www.youtube.com/watch?v=XIezWV85528

 山本周五郎が作家生活の最後に自らを投影しながら、書いた小説。最後まで本朗読にお付き合いいただければ、幸いです。

 ■第十巻!  残すところ、あと一話。物語は大きく動いて、殿さまは、ついに腰をあげ、昌治側近の侍たちが国許に集結する。  次号、最終巻! です。

 

 

■ながい坂十一巻は、いよいよ主水と兵部が邂逅!

 主水といっしょに、ながい坂をのぼってきた本朗読も、これにて読み終わりでございます。  きん夫人とともに、長い坂を一歩一歩のぼって、小説を書き続けた周五郎。

 そんな、周五郎先生は、きん夫人に折にふれてこう云ってしました。 「トシの順番からいえば、ぼくの方がうえだから、かあさんより早くしただろう。ぼくがさきに死んだら、一字一字たいせつに読んでくれ。だいたいの小説にかあさんが出てくるから」(夫 山本周五郎)  山本周五郎にとって、戦後の多くの小説はきん夫人にたいする手紙だったのかもしれません。

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