朗読連載! 「虚空遍歴」完結しました!  書き手山本周五郎  読み手七味春五郎

AudioBookChannel【朗読名作劇場】で、虚空遍歴が登場!

 山本周五郎の晩年の名作、「虚空遍歴」こちらをYouTube朗読専門チャンネルにて、全文朗読連載中です!
 こちらのページでは、虚空遍歴の作品、人物紹介などを行っています。

 

虚空遍歴オープニングトーク(第一巻の巻末にて朗読中)

虚空遍歴が書かれたのは、昭和三十六年五十八歳のときの作品です。
 新しい小説を書くときは、いつも遺書を書くつもりで机に向かう、と口癖のように云われていたそうですが、ならばすべての作品は遺書のようなものだし、自分自身をこめて書いたのだと思います。本編の主人公、中藤沖也にもどこかしらに周五郎らしさがのぞいているのではないでしょうか?
 周五郎先生は、この作品を書き上げたのちおよそ六年間で、長編さぶ、ながい坂、おごそかな渇き、のほか、四本の短編しかのこすことができませんでした。

 虚空遍歴が発表されると、この作品は、山本周五郎の芸術論を小説化したもの、と評されたそうです。山本先生はそうではないとこたえます。

 わたしは、ひとつの好ましい仕事に情熱を感じ、その情熱をいかに燃焼させるか、そういう人間の姿を描きたかった、とあるインタビューに語りのこしています。山本周五郎もそういう人で、本朗読も進むうちに、中藤中也の情熱と奮闘をあますことなく語り尽くしてくれることでしょう。
 山本周五郎もまたその情熱のままに、死ぬまで小説をかきつづけ、情熱を燃やし尽くして亡くなりました。
 周五郎先生がなくなったあと、キン夫人はこんな感想をもらしています。
「うちのひとは、家のことも子どもたちのこともそっちのけにして、みーんな小説に注ぎ込んでしまったのね」

 山本周五郎がその全てを注ぎ込んだ傑作長編小説「虚空遍歴」
 これより、読み始めでございます。】

虚空遍歴エンディング

■山本周五郎の虚空遍歴

「苦しみつつ、なおはたらけ、安住を求めるな、この世は巡礼である」ストンベリー
「人間の真価は、彼が死んだとき、何を為したかで決まるのではなく、何を為そうとしたかだ」ロングフェロー

 虚空遍歴が書かれたのは、「小説新潮」昭和三十六年から三十八年まで、山本周五郎、五十七歳から、五十九歳にかけての作品で、文庫の前書きには、「最円熟期における代表作と評価されている作品で世評が高い」とあります。
 上にあげた二編は、山本先生の座右の銘ですが、虚空遍歴に見事に反映されています。山本周五郎の過去、そして、未来の姿までが詰まった作品となりました。

***

「ぼくが本当に小説らしい小説を書けるようになったのは、終戦後、それも昭和二十四五年以降のことだろう」
 そのころおたふく三部作をかきはじめたようですが、戦前山本ぶしといわれた自分の小説を打ち破ろうとして苦心し、納得のいくところまでこぎつけた、そんな姿を冲也に重ねて描いたのかもしれません。

 戦前の作品は、短くて独特の節がありますが、この虚空遍歴などはまったくちがう。文章のセンテンスは長くなり、原稿用紙をこれでもかと埋めている。
 ある読者から、描写がこまかい。ただくどいだけじゃないかと手紙がきて、大変怒ったという話が残っておりますが。

 海外の作家が小説技術のことで語っていたのに「細部描写」というものがあります。きめ細かに描写をくわえていくことで、臨場感やリアリズムを高めていくという技法ですが、山本周五郎という人は、英語学校の夜間部に通っていたそうで、時代小説を書き、日常にも和服を用いているわりに、日常の会話にも英語を頻発させ、海外の小説をよく読んだそうですが。
 旧来の技術を打ち破ろうと努力して、結果、近代のトップクラスの小説家に近い技術を体得して、そのうちでも群を抜いた腕をもつスティーブンキングなどのような作家と同じような批判をくらっているのが、なんともおもしろいですね。
 山本周五郎がいまもって人気なのは、近代の作家に近い技術を体得したから、といえるかもしれません。

***

 冲也は、とにかく幸薄く、酒で身を滅ぼすことになるんですが、山本周五郎もその晩年は、なぜか冲也の後をたどりました。
 酒は仕事中は決して飲まない、という不文律を晩年は体調の悪化からかやぶるようになり、それも醸造酒は体に悪いからとウイスキーに変えた。ウイスキーはそれほどうまいものじゃない。一口目のにおいが気に入らない、といって鼻をつまんで飲む。食べ物もろくにとらない。口にするのはせいぜいチーズの欠片。このいっぱいを飲めば、原稿が進むんじゃないか。そう思って口にはこぶ。結果酒みずくになって、三八年には仕事場にボヤまで出す。頑丈な周五郎先生も、体はどんどん壊れていきます。
 あれが食べたい、これが食べたいと奥さんにいっても、結局は食欲がなくなり、箸がつけられない。原稿用紙にふれるな、といっては、書けないのに、原稿用紙をにらんでばかりいる。
 どうも、符紙をにらめっこする冲也を彷彿とさせます。

***

 死ぬ、前々日だったそうで――
 周五郎先生が、夜中も十二時をすぎていたのに、かあさん、二時間ばかり起きて、話を聞いてくれ、と奥さんにいう。雪も降ってるし、寒い。明日にしては、と奥さんがいってもきかない。きょうは真面目にきいてくれ、という。そして――
「自分はほんとうにしあわせだった、かあさんのおかげで、思うように仕事も出来た。編集者にも恵まれたし、食べたいものも食べたし、飲みたいものも飲んだし、ぼくほど幸せなものはない」

 かあさんが一人になってしまうのは気の毒だが、印税だけでも食べてゆかれるようにはした。ぼくの作品は死んだ後の方が売れるんじゃないかという気がする。新潮社にたのんで、印税が月給のような形で出るように相談しておいたよ

 という。奥さんは周五郎先生の小説をあまり読まなかった。話の筋はおしゃべりも達人だった夫がたびたびきかせてくれるから。でも、ぼくが死んだら読んだらいい、と先生がいう。いろんな作品にきんべえ(夫人の愛称)が出てくるから。

 周五郎先生は奥さんに小説として手紙を残した。冲也は、おけいに浄瑠璃を。ともに不器用な人たちである。

***

「ぼくの小説の半分は、かあんさんのおかげでかけたんだ」
 これも晩年の言葉だそうですが、おけいには、奥さんきん女をかさねていたのかもしれません。

 作者は、最後のおけいの独白を、つけるか削るか迷ったといいますが、私はつけてよかったと思います。
 奥さんは「夫 山本周五郎」を著して、この偏屈な男の物語を届けてくれたように、おけいの独白も必要だったなあと思います。

「かあさんは、仕事のことは何も手伝ってくれないが、ほかのことはよく面倒を見てくれる。よくやるな。ずいぶん心配をかけてすまないね」
 などといっている。
 奥さんには、男の人はもうこりごりと云われてしまいますが。
 

 最晩年、山本周五郎は、夫人にあてた色紙にこう書いている。
「我が人生の
もっともよく
有難き伴侶
わが妻よ
きんよ そなたに
永遠の幸福と
平安のあるように」

***

 死ぬときは、人に知られない山奥でひっそりと――といっていたが、寒い早朝に体が冷たくなって、医者が呼ばれてそのままひっそりと――
 前日に、気力をふるいおこし、数行したためた後のこと。
 山本曲軒先生の人生のしめくくりは、そんなふうであった。

「人間は、何をしたかではなく、何を為そうとしたかである」
 山本周五郎の遺書『虚空遍歴』お聞きください。

作中の独白について

 毎度、おけいの独白、よりはじまる虚空遍歴ですが、全部で十三カ所。

 これは、「樅の木は残った」

https://www.youtube.com/watch?v=BzpD06qOc5M&list=PLbLffmEwTDpqUxrw0aq2KZXpGx2ysC8bX

 の断章に相当する仕組みで、物語の流れをかえ、おけいの視点をいれることで、登場人物に厚みをましています。「ながい坂」 https://www.youtube.com/watch?v=aAxlB6Uv_gE&list=PLbLffmEwTDppXmvSmjRbDYTIIYx48ycYb

 でも、各章の冒頭に、三浦主水以外の人物に視点をあてて語る技法がとってあります。  女性の一人語りなので、男の私にはちょっと難しいです(..;)

登場人物

■登場人物
中藤冲也……26才で登場。端唄の名人として、江戸で有名になりつつある若手の実力者。その才能を周囲にみとめられながも、そのことに安穏せず、さらなる芸の高みを目指す。
おけい……冲也の端唄にほれこむ色町育ちの芸妓。独白の形で冒頭から一人語りを行う。物語の導き手。
お京……料理茶屋「岡本」の娘。のちの冲也の妻。幼なじみ。
新助……お京の父。岡本主人。
お幸……冲也の乳母。中藤家を出た冲也につけられ、ともに暮らす。
生田半二郎……冲也の幼なじみで親友。旗本の子だが、冲也の後を追って常磐津に弟子入りするも、女問題で破門。
岩井半四郎(大和屋)……芝居役者。冲也のよき理解者。
十三蔵(伊佐太夫)……常磐津の相弟子。半二郎を常磐津から追い出す。
沢村宗十郎(紀伊國屋)……芝居役者。45才。
市川八百蔵(立花屋)……芝居役者。30才
おぺこ(おりう)……岡本女中。他に、お夏、おすえ、お梅がいる。
西村……最初におけいを囲った老人。大名の老職。
中藤勘右衛門……冲也の父。
中藤勘也……冲也の祖父。故人
中藤祐二郎--冲也の異母兄(長男)。中藤家当主。
中藤角三郎--冲也の弟。
常磐津繁太夫(長沢町)……冲也の兄弟子。
常磐津由太夫……本名幸二郎。冲也に惚れ込む。
常磐津文字太夫……常磐津の師匠。冲也を後継者と考えている。
若師匠……文字太夫の息子。
おせき……文字太夫の姪。文字太夫の看病をする。
中島酒竹……浄瑠璃の台本作者。冲也の浄瑠璃の台本を創作する。
新井泊亭……浄瑠璃の台本作者。
杉沢冶作……台本作者。
竹島与兵衛……おけいの旦那。嫉妬深く、おけいと冲也との仲を疑う。本名、本多五郎兵衛。
吉原藤次郎……竹島与兵衛の家来。冲也をつけ狙う。
疋田京之助……竹島与兵衛の家来。冲也をつけ狙う。
久吉……芸妓。おけいの姐さん。松廼家を継ぎ、おけいを助ける。
蔵前の旦那……久吉の旦那。おけいのお金を管理している。
とき……鞠子の宿「池田屋」の女中。
はる……池田屋女中。
お松……袋井の宿「若松屋」の女中。
お常……若松屋女中。
お由……若松屋女中。
大谷小十郎……代官所与力。吉原たちに囲まれた冲也を助ける。
冶兵衛……池田宿の医者。冲也を助ける。
ほり……宿の女将。おけいに変装を教える
乞食……賤ヶ岳で乞食をしている。
矢島濤石……旅の絵師
ふくみ……柳ヶ瀬の宿の女中
伊之助……ふくみの旦那
おなつ……宿井筒屋の女中
無仏……僧形の医師。杉風庵無仏と名乗る。
初兵衛……大黒屋あるじ
おかじ……大黒屋女将
おれん……大黒屋女中
多助……金沢の宿の主人
仲山新平……金沢の芝居を取り仕切る
松島千蔵……金沢の芝居役者。冲也と山中温泉で芝居興行を図る。
菊五郎……山中温泉の山中ぶしの師匠。
お袖……岩井屋の女中。おけいに三味線を習ったことから、おしょさんとよぶ。冲也と関係を持つ。
松蔵……お袖の夫。極道者。
弁吉……おなつの許婚。

朗読まとめ前編作成いたしました!

全十八編の前半、六話をまとめています。

虚空遍歴 第一巻

 

この巻の登場人物!

中藤冲也……26才で登場。端唄の名人として、江戸で有名になりつつある若手の実力者。その才能を周囲にみとめられながも、そのことに安穏せず、さらなる芸の高みを目指す。

おけい……冲也の端唄にほれこむ色町育ちの芸妓。独白の形で冒頭から一人語りを行う。物語の導き手。

お京……料理茶屋「岡本」の娘。のちの冲也の妻。幼なじみ。

新助……お京の父。岡本主人。

お幸……冲也の乳母。中藤家を出た冲也につけられ、ともに暮らす。

生田半二郎……冲也の幼なじみで親友。旗本の子だが、冲也の後を追って常磐津に弟子入りするも、女問題で破門。

岩井半四郎(大和屋)……芝居役者。冲也のよき理解者。

十三蔵(伊佐太夫)……常磐津の相弟子。半二郎を常磐津から追い出す。

沢村宗十郎(紀伊國屋)……芝居役者。45才。

市川八百蔵(立花屋)……芝居役者。30才

おぺこ(おりう)……岡本女中。他に、お夏、おすえ、お梅がいる。

虚空遍歴 第二巻

 

 

 

この巻の登場人物!

西村……最初におけいを囲った老人。大名の老職。

中藤勘右衛門……冲也の父。

中藤勘也……冲也の祖父。故人

中藤祐二郎--冲也の異母兄(長男)。中藤家当主。

中藤角三郎--冲也の弟。

常磐津繁太夫(長沢町)……冲也の兄弟子。

常磐津由太夫……本名幸二郎。冲也に惚れ込む。

虚空遍歴 第三話

■登場人物

常磐津文字太夫……常磐津の師匠。冲也を後継者と考えている。

若師匠……文字太夫の息子。

おせき
……文字太夫の姪。文字太夫の看病をする。


中島酒竹
……浄瑠璃の台本作者。冲也の浄瑠璃の台本を創作する。


新井泊亭
……浄瑠璃の台本作者。


杉沢冶作……台本作者。

虚空遍歴 第四話

■あらすじ

 新しい浄瑠璃を生み出すことができず、創作の苦しみに迷う冲也は、家を出て、温泉地に赴く。

 創作の苦しみといえば、山本周五郎も、戦前の山本節をうちやぶるべく、戦後は文体の改変にとりくんでおりました。というのも、戦前は紙不足から、少ない枚数での連載を余儀なくされていたからであり、思うように書けない状態があったのです。
 戦後、これでいける、とみきわた時期から、周五郎先生の一場面の原稿枚数は、五枚から七枚に変化します。朗読でも、四~五分ほどだった場面が、七~八分にのびます。文体をかえることに成功したんですね。
 さて、周五郎先生の分身、中藤冲也は、自分の改革に成功できるのでしょうか?

■登場人物

竹島与兵衛……おけいの旦那。嫉妬深く、おけいと冲也との仲を疑う。本名、本多五郎兵衛。

吉原藤次郎……竹島与兵衛の家来。冲也をつけ狙う。

 

虚空遍歴 第五、六話

■山本周五郎が芸人の生き様、人間の愛憎を描き尽くした不朽の名作

 今回は、才能に満ちた男の挫折――

 箱根の宿で、おけいと親しくなったことから、本多五郎兵衛の家来に決闘を挑まれることになった冲也。得意の念流でしりぞけることは出来たが、中島酒竹から、自分に金を出しているものがいる、そのおかげで芝居をかけることができているときいたことで、冲也の苦しみが始まる。冲也は、芝居の座を兼太夫になった十三蔵に奪われ、酒におぼれていくが……

 芸人の生き様と遍歴を描いた名作を全文朗読中!

■登場人物

疋田京之助……竹島与兵衛の家来。冲也をつけ狙う。

久吉……芸妓。おけいの姐さん。松廼家を継ぎ、おけいを助ける。

蔵前の旦那……久吉の旦那。おけいのお金を管理している。

虚空遍歴 第七巻

 

■あらすじ

 芝居の世界ではじめての挫折をし、中藤冲也は、芸の完成をみきわめるため、一路大坂をめざす。その途上には、彼の身をつけねらう侍たちの姿があった。

■登場人物

とき……鞠子の宿「池田屋」の女中。

はる……池田屋女中。


お松……袋井の宿「若松屋」の女中。


お常……若松屋女中。


お由……若松屋女中。


大谷小十郎……代官所与力。吉原たちに囲まれた冲也を助ける。

冶兵衛……池田宿の医者。冲也を助ける。

虚空遍歴 第八巻

 冲也は、大坂で初演を上げようと現地の関係者と付き合いをし出すが、江戸物は、てんで相手にされない。怒った冲也は、一人を斬ってしまう。一方、生田半二郎は冲也のために、奔走していく。そんな中、再び吉原たちが冲也の暗殺を企てる。

 

■用語集 虚空遍歴 八話
中食(ちゅうじき)……昼食。なかしょく。ちゅうしょく。
見付(みつけ)……街道の要所におかれた見張り番所。
建場(たてば)……人足、駕籠かきなどの休息したところ。
着料(ちゃくりょう)……きりょう。衣服を買いそろえるための費用。
煎薬(せんやく)……せんじぐすり。
銅壺(どうこ)……銅または鉄でつくった湯沸かし器。
竪繁格子(たてしげごうし)……竪桟が通常より密なこと。
猫板(ねこいた)……長火鉢の端、引き出し部分に乗せる板。
停頓(ていとん)……ゆきづまってはかどらないこと。
四半刻(しはんとき)……三十分
てんぼう……けがなどのため、指や手がないこと

虚空遍歴 第九巻

■用語集 虚空遍歴
燗鍋(かんなべ)……酒を温める鍋。多くは銅製。
片口(かたくち)……一方にだけつぎ口のある長柄の銚子。
通年(つうねん)……世間一般に共通して認められている考え。
実事(じつごと)……歌舞伎の演出用語。実際にありうる事を、写実的に表現すること。

虚空遍歴 第十巻

■用語集 虚空遍歴
ご詠歌……仏の徳などをたたえて唄える歌
鳥目……金銭
蟬脱(せんだつ)……古い因習や束縛から抜け出すこと。
紫紺色(しこんしょく)……紺が買った紫色。

 

 

虚空遍歴 第十一巻

■登場人物
ほり……宿の女将。おけいに変装を教える
乞食……賤ヶ岳で乞食をしている。
矢島濤石……旅の絵師
ふくみ……柳ヶ瀬の宿の女中
伊之助……ふくみの旦那

■用語集 虚空遍歴
粗朶(そだ)……切り取った木の枝。薪などに用いる。
喜捨(きしゃ)……僧や貧者に金品を寄付すること。
点景(てんけい)……風景がなどにそえられる人や物。
白描(はくびょう)……墨一色を用い、筆線を主体に描く技法
希世(きせい)……世にまれなこと。希代
幇間(ほうかん)……太鼓持ち。男芸者。
両掛(りょうがけ)……旅行用の行李の一つ。はさみ箱や小形の葛籠を棒の両端にかけ方に担いだもの。
桐油(とうゆ)……江戸時代には、灯火油、油紙、雨合羽などに利用された

 

 

虚空遍歴 第十二巻

■登場人物
おなつ……宿の女中
無仏……僧形の医師。杉風庵無仏と名乗る。

■用語集
おまじり……おもゆのなかに飯粒の混じったもの。
どてら……大きめにつくり、綿を厚く入れた広袖の着物。丹前とも。
滲出(しんしゅつ)……液体が外ににじみ出ること。
実生(みしょう)……種子から発芽して生じた植物。挿し木、取り木にたいしていう。
かきわり……芝居の大道具。建物や風景などを描いて背景とする。
僧形(そうぎょう)……僧の姿。
病臥(びょうが)……病気で床につくこと
節婦(せっぷ)……節操を固く守る女性
ゆきひら……厚手の陶製の深い土鍋。
憂悶(ゆうもん)……思い悩み苦しむこと
ずくにゅう……僧や坊主頭の人を罵っていう語
落款(らっかん)……作者の署名、または推印
感興(かんきょう)……何かを見たり聞いたりして興味がわくこと。また、その興味。

 

虚空遍歴 第十三巻

虚空遍歴 第十四巻

■登場人物
お袖……山中の女中。実家に帰る途中、冲也に出会う。

■用語集
絃歌(げんか)……三味線を弾きならし、歌を歌う、遊興の様子。
ねじめ……三味線、琴などの弦を締めて、音調を調えること。また、その音の冴えや音色のこと。
軒端(のきば)……軒の端。軒口
地割り(じわり)……土地の区画。
願文(がんもん)……神仏に願を立てるとき、その趣旨を記す文。
合の宿(あいのしゅく)……街道の宿場と宿場の間で、旅人が休める茶店などを置いた村

 

虚空遍歴 第十五巻

■用語集
五反百姓……五反歩の耕地では、金が残らないが、借金もなく、手も内輪でたり、とんとんの経営になるという事
六字の名号(ろくじのみょうごう)……南無阿弥陀仏の六字
灌木(かんぼく)……低木
塔婆(とうば)……卒塔婆の略
盛名(せいめい)……盛んな名声
掻巻(かいまき)……袖のついた着物状の寝具。防寒着
手金(てきん)…手付金

 

虚空遍歴 第十六巻

■用語集
したみ板……壁の横板張り。腰壁。
一揖(いちゆう)……軽くお辞儀すること。
世話場(せわば)……歌舞伎で、貧困な生活の苦しみや悲哀を見せる場面。
ごりょうさん……嫁娘を敬いや親しみをこめて呼ぶ語。
埋み火(うずみび)……炉や火鉢などの灰に埋めた炭火
駄弁……むだなおしゃべり
見台……書物を載せて読む台
にわか……突然。物事が急におこるさま

 

虚空遍歴 最終話

 

 

この他、AudioBookChannelの長編朗読連載は、コチラです!

■AudioBookChannelの長編小説紹介

長編中編再生リストまとめ https://www.youtube.com/watch?v=VL_3xi5f8Es&list=PLbLffmEwTDppcuNWBi9S2xE09KMYIqMhE

 

☆新連載「虚空遍歴」 https://youtu.be/VL_3xi5f8Es

★五瓣の椿 https://www.youtube.com/watch?v=M41hhDRGGcU

★さぶ
前編 https://www.youtube.com/watch?v=0bUhm9btwaA
後編 https://www.youtube.com/watch?v=EOSw45bNL-g

★柳橋物語 https://www.youtube.com/watch?v=Fn8RGOG2-OU

★むかしも今も https://www.youtube.com/watch?v=3HuLTiHDYbU

★赤髭診療譚
前編 https://www.youtube.com/watch?v=If8wGtQrBhQ
後編 https://www.youtube.com/watch?v=If8wGtQrBhQ

★ながい坂 https://www.youtube.com/watch?v=aAxlB6Uv_gE&list=PLbLffmEwTDppXmvSmjRbDYTIIYx48ycYb

★樅の木は残った https://www.youtube.com/watch?v=BzpD06qOc5M&list=PLbLffmEwTDpqUxrw0aq2KZXpGx2ysC8bX

★宮本武蔵(吉川英治) https://www.youtube.com/watch?v=6Kgo0k3pwVY&list=PLbLffmEwTDpptSATwqE3PtoxHMFPk5voQ

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