彰義隊頭取として上野戦争を戦った天野八郎には、こんな逸話があります。

彰義隊発足後、集会に向かおうとした天野は、二人の武士に突然切りつけられます。

天野、からくも初太刀を躱しますが、相手は一目でわかるほどの手練れです。天野、得意の居合いの構えをとりながらも、襲われる理由がわからない。そこで、自分の声明と素性を述べると、二人の武士はハッと鉾をおさめます。

このとき、天野を襲った武士、これは新撰組の原田左之助、永倉新八の両名でした。

二人は朝廷のはなったスパイを追っていましたが、途中どういうわけかその追手が、天野といれかわっており、勘違いして斬りかかってしまった、というのです。まあ、背格好が似ていたんでしょうね。

新撰組の剣豪二人に突如として斬りかかられた天野こそ、いい面の皮ですが、彰義隊の頭取になるほどの男なので、二人のわびを鷹揚に受け入れると、後は酒席で意気投合したそうです。

原田はこの縁もあって、上野戦争に参加したと言われています。

新選組八犬伝では、そろそろこの原田が出てくる頃合いです。

近藤の義の珠を取り戻し、死にゆく沖田の命を救えるか、というのが見所。
また、近藤の義の珠は、なぜ光をはなっているのか? 持ち主が死ねば、珠は力をなくすはず……という疑問が残っています。こうご期待です!

新撰組八犬伝 ~ 第一輯 ~

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