入山型の袖口に、浅黄色の単衣仕立て……ご存じ新撰組のユニフォームですが、もちろんこんな奇抜なデザインは既存のものではなく、大丸呉服店に注文した物です
その代金は、五十数人分で五百両。
一人前が四両で、幕末のレートで言えば、一着二十万円です。
文久三年の将軍上洛の警護にあわせてつくった物で、気合いが入っています。
この衣装、手本は歌舞伎の忠臣蔵です。武士の鑑として、江戸時代から人気がありましたから、その忠孝の精神にあやかって、ということでしょうか?
浅黄色も武士が切腹するときにきた裃の色だそうで、ちゃんと意味があるんですね。
生地は麻
夏用の単衣仕立てでした
その後は、着られなくなったようで、池田屋事件以降、着ているのを見たという記録は残っていません。
新撰組は警察組織ですから、目立つのはよろしくなかったのでしょう。
ちなみに、赤穂浪士も、現実には、同士討ちをさけるために、袖口に白い布を縫い付けたり、名前の入った襟をつけたり、工夫はしていたようですが、歌舞伎で見られる、そろいの衣装は着ていなかったと言うことです。