銭形平次捕物控 全383編の名作を朗読中!

野村胡堂の残した捕物帖の白眉

時代劇の名品、銭形平次、その大本、野村胡堂のこれまた名作、銭形平次捕物控。
 メンバーシップの皆様に向けて、朗読連載しておりますが、その第一話をこのたび通常チャンネルにて、まず配信。第二話は、8/22日に配信しはじめております。

 メンバーシップは、毎週日曜配信です。メンバー用コミュニティにて通知がいくようにしておりますが、連絡もいかないこともあるようで、こちらのメンバーシップ用再生リストもご利用いただけると助かります。山本周五郎の花筵も連載しております。あれこれ朗読しておりますので、参加いただけるとありがたいです。

・メンバーシップへの参加はこちらから。月額390円です。
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 さて、肝心の銭形平次。1931年にこの金色の処女が発表されて以来、26年間、長編・短編あわせて383編というとんでもない数の(ちなみに大川橋蔵のテレビドラマシリーズは、888回放映された)作品を生み出しました野村胡堂先生。生きてる間に全部朗読できるかな? と不安になるんですが、作品は発表同年に映画化されたという人気作ですから、初っぱなの第一作からもう無類におもしろい。
 最後の最後の一編に「読み終わりでございます」とつけたすのは、ずいぶん先になるでしょうが、気長にお付き合いいただけると幸いです。

長編 銭形平次捕物控

一 八五郎女難

■あらすじ
 銭形平次捕物控 最初の長編で、昭和二十三年、報知新聞掲載。
短編とちがって、八五郎がちょっと有能。平次とのかけあいも楽しい作品となっております。
 金貸しで人を食い物にする新助が、崖下に投げ捨てられた無残な姿でみつかった。平次はガラッ八をつれて捜査を開始するが、八五郎は事件にかかわる女たちにせめさいなまれて……

■登場人物
平次……銭形の平次。岡っ引き。銭占いと鍋銭打ちが得意技
八五郎……ガラッ八。平次の子分。
お静……両国の水茶屋の看板娘。
駒吉……大入道の駒吉。野だいこといわれるやくざもどき。
お菊……駒吉の娘。
新助……佐渡屋支配人で、不人情のため人食鬼とおそれられる。
四郎……十九。佐渡屋の若き当主だが、新助のため、押し込めにされている。
お為……三十二三の年増。小唄の師匠だったが、新助のめかけに。
元吉……湯島の岡っ引き。四十男。
彦次郎……佐渡屋の遠縁。
お安……佐渡屋の下女。
嘉平……佐渡屋番頭
長七……佐渡屋の手代
お浪……佐渡屋長女。彦次郎と関係をもっている。
お愛……佐渡屋の娘。十七八。

■用語集
野だいこ……幇間、太鼓持ちは、芸妓をいかす座持ち芸人のことで、それにたいして、素人で太鼓持ちのまねごとをして世渡りする遊び人を野だいこといった。
果たし眼……ハタシマナコ・果たし合いのときの目つき。殺意のある目つき
細民……サイミン・下層階級の貧しいひとたち。
身上……シンショウ・身代、財産
公事……クジ・訴訟
下っ引き……正業を営みながら、情報の収集の協力をする人
便覧……ハンドブック
七つ半……五時前
てかけ……妾。関西方面の言い方の模様。
弁口……ベンコウ・口の利き方。口先のうまいこと
庇間……ヒアワイ・建て込んだ家の間の、庇と庇が接する狭いところ
お能の橋がかり……鏡の間(舞台袖)と本舞台とをつなぐ通路
ローズ物……ろうず物。傷や汚れで売り物にならないわけありの商品をさす。明治ころの言い方。
因業……インゴウ・因と業。頑固で思いやりのないこと
五つ……八時
海老錠……えびのように半円形に曲がった鍵
おくびょう窓……商店の店先の戸につくった小窓。閉店後に用いられた。
輪鍵……和状のかけがね。わかけがね
放縦……きまま、わがまま
豊艶……ホウエン・ふくよかで美しいこと
六つ……六時
五つ半……九時
四つ……十時
四つ半……十一時
口説……クゼツ・おしゃべり。弁舌。またはいさかい。

白丁……白鳥徳利。白い素焼きの一升徳利
銅壺……ドウコ・湯沸かし器
煎じ殻……江戸期の煎じ薬は、土鍋で煮詰めて、煮出した薬を服用した。煎じたあとの薬のカス。
十七八貫……六十五キロほど
韮山……伊豆、駿河、相模、武蔵国の幕府直轄地を納める代官。
土蔵相模……品川遊郭の相模屋。土蔵のようなナマコ壁であったため
六十六部……全国六十六カ所の霊場に、法華経をおさめる巡礼者
歌沢……三味線を伴奏にして歌う短めの歌
海鼠……精錬した金属を鋳型にながしたもの
二百五六十貫……一トン弱
総仕舞い……遊郭などを貸し切ること。
南鐐……南陵二朱銀、五百文に相当
湯灌……遺体を沐浴させて洗い清める儀式のこと
松井源水……江戸期から昭和の浅草の大道芸人。居合抜きなどで人寄せをして、歯薬などを売った。刀が通常より長いものを使った。

第一話 金色の処女

登場人物 金色の処女

・平次……銭形の平次。岡っ引き。銭占いと鍋銭打ちが得意技
・笹野新三郎……南町奉行筆頭与力。奉行朝倉岩見守の知恵袋。
・お静……両国の水茶屋の看板娘。
・峠宗寿軒……お薬園預かりの本草家
・お小夜……宗寿軒の娘。府内に並ぶ物なし美人
・徳川家光……三代将軍

用語集

臨場(りんじょう)……その場所にのぞむこと。または、会場や式場などに行くこと。
馥郁(ふくいく)……よい香りが漂っている様。
面体(めんてい)……顔かたち。面相。
鍋銭(なべせん)……鍋鉄で鋳造した鉄銭。寛永通宝のうちでも劣悪なもの。なべぜに。
弥造(やぞう)……懐手をして着物の中で拳をつくり、肩の辺りを突き上げるようにしたさま。または、握りこぶし。拳骨。
黄八丈(きはちじょう)……黄色地に茶や鳶色で、縞や格子柄を織り出した絹織物。はじめ八丈島で織られた。
大束(おおたば)……おおざっぱなこと。大まか。雑。
繊弱(せんじゃく)……弱々しいこと。ひ弱
鳥目(ちょうもく)……金銭
皆暮れ(かいくれ)……まるっきり
格天井(ごうてんじょう)……木を格子にくんで、それに板を張った天井。
読経(どきょう)……経文を音読すること。どっきょう。
行法(ぎょうほう)……密教の修法
二刻……四時間
獣身(じゅうしん)……獣のような姿
異香(いこう)……すぐれたよい香り。いきょう
香炉(こうろ)……香を焚くための器。
士卒(しそつ)……仕官と兵卒。または兵士。
唐木(からき)……渡来ものの上等な木材
神気(しんき)……精神力。気力
帯際(おびぎわ)……帯の結び際
猿臂(えんぴ)……猿の腕、転じて、そのように長い腕。
深怨(しんえん)……深い恨み
寸毫(すんごう)……きわめて僅かなこと。ほんの少し。
焼金(やきがね)……熱した金属
口火(くちび)…………点火するのに用いる火。
金泥(こんでい)……金粉をかわで溶いた顔料
蘊奥(うんおう)……学問技芸のもっとも奥深いところ。奥義。極意。
調伏(ちょうぶく)……心身を整う手、悪行に打ち勝つこと。密教で、五大明王などを本尊として法を修し、魔障をうちやぶること。
面差し(おもざし)……顔つき。顔立ち。面立ち。
怨敵(おんてき)……恨みのある敵。

 

その二 傀儡名臣

 

銭形の平次は、最初寛文万治の人でしたが、化政年間の人とされたり、登場年代にパラつきはあるんですが、年齢は永遠の31才。これは野村胡堂自身当時の読者につっこまれたそうです。
 住居は鰻の神田川の近所。恋女房と二人で、神田お台所町の貧乏長屋に住んでいる。ちょいと腐ったどぶ板。背後にはちんけな共同井戸。狭い路地には白犬がねそべるのがいつもの風景。住まいは六畳二間で、入り口は二畳。お静がピカピカにみがいているけれど、けっして裕福な暮らしではない。店賃がためるほどピイピイな暮らしのところへ、ガラッ八がかけこんでくるのも、いつもの風景。
 岡本綺堂の半七と同じく、

■半七捕物帳再生リスト
https://www.youtube.com/watch?v=iUobBtu-A4g&list=PLbLffmEwTDppu8wEkKJ4U1gfJyIrIuDVd

 平次も同心の私費で雇われた岡っ引きなので(平次の場合は、与力笹野新三郎)、探偵仕事の給料はわずかです。平次は貧乏なので、心付けをせびるケチな岡っ引きとはちがう正義の味方、なんでしょうね。

登場人物

平次……銭形の平次。岡っ引き。銭占いと鍋銭打ちが得意技
八五郎……ガラッ八。平次の子分。
石田清左衛門……安部家用人。
安部丹之丞……お小姓組御番頭。才物。四千五百石の大身の旗本。
綾野……丹之丞の本妻
お勝……丹之丞の妾
針目正三郎……丹之丞の遠い従兄弟。
森三……安部家につかえる小者

用語集

五つ……午前八時。辰刻
四つ……午前十時。巳刻
印形(いんぎょう)……はんこ
寸毫(すんごう)……きわめてわずかなこと。ほんの少し
勃然(ぼつぜん)……急に勢いよくおこるさま。顔色を変えて怒る。突然。
用箪笥(ようだんす)……雑物をいれる小ダンス。
驕慢(きょうまん)……おごり高ぶって、人を見下し、勝手なことをすること。
凄艶(せいえん)……ぞっとするほどなまめかしいさま。
阿呆払い……裸にしたり、しばったりして、人々に嘲られるような姿で追放すること。

平癒(へいゆ)……病気が治ること
恐悦(きょうえつ)……相手の行為などを、もったいなく思って喜ぶこと
御厨子(おずし)……厨子を敬って云う
去就(きょしゅう)……進退

 

その三 十手の道

平次が劇中で投げる投げ銭は、寛永通宝で、重さは3.5グラム。小石程度です。
 ちなみに子孫の銭形警部の得意技は手錠投げ。ファミコン版、カリオストロの城がなつかしいです。クリアできなかった……。
 とっつあん、こと銭形幸一は、平次から六代目の子孫。投げ銭もできるらしい。次元に匹敵する射撃の腕前で、原作では設定はないものの、身長は181センチ、体重は73キロ。生年月日は1938年12月25日となっております。ルパンとは、同じ大学の先輩後輩の間柄。平次よりも詳細です。原作の第一話には、名探偵明智小五郎が協力者として登場。アニメとは違い、原作ではクールにして冷徹。宮崎駿版の銭形がもっとも原作に近いそうです。

■登場人物
志賀玄蕃……藩主に意見して手打ちになる。
志賀内匠……浪人。釣りにでかけ行方知れずに。
加世……志賀玄蕃、内匠の母
関……内匠の嫁
高力左近太夫高長……肥前島原藩主
川上源左衛門、治太夫……内匠を釣りにさそいだす。以降行方知れずに
与吉……目黒の御用聞き
左五兵衛……門番

■用語集
十手(じって)……犯人逮捕のための武具。柄(え)には組紐、鍔元には刀剣を受けるための鉤形がついていた。
曾孫……孫の子。ひまご
奢侈(しゃし)……度を過ぎて贅沢なこと
弁佞(べんねい)……心がねじけていて、口先のうまいこと。また、表向きだけきれいにかざった弁舌。
下知(げち)……命令
蜚語(ひご)……根拠のない噂
百本杭……波よけの杭を多く並べたところ
争気(そうき)……人と優劣などを争おうとする気持ち
そもじ……そなた。あなた。
臣節(しんせつ)……臣下として守るべき節操
質朴(しつぼく)……じゅんぼく。素朴。
酉刻半(むつはん)……午後七時
愛憎(あいぞう)……愛することと憎むこと
義憤(ぎふん)……道義に外れたこと。不公正なことにたいする憤り。
備後表(びんごおもて)……備後地方から産する上質の畳表
子刻(ここのつ)……午前零時
三代相恩(さんだいそうおん)……祖父以来三代にわたって主君につかえ恩を受けること
杖柱(つえはしら)……もっとも頼りとする者のたとえ
貞烈(ていれつ)……女性の貞操がかたいこと
峻拒(しゅんきょ)……きっぱりと拒むこと。厳しい態度で断ること
辞色(じしょく)……言葉付きと顔色
鋭鋒(えいほう)……するどい矛先。言葉や文章による鋭い攻撃。
朴訥(ぼくとつ)……かざりけがなく、口数が少ないこと。
のめのめ……おめおめ。恥ずかしげもなく平然としているさま。

その四 敵討果てて

 今回の銭形は、勘違いから起こった仇討ち騒動。
 永楽銭は投げないが、平次の探査が光ります。

登場人物

伊勢屋玉吉……乾物屋
光川左門太……手習い師匠
三河屋甚兵衛……三河屋主
藤枝蔵人……浪人者ながら裕福で金貸しをしている
お村……甚兵衛の娘
成滝近江……蔵人と決闘して死んだ侍
お礼……蔵人の娘
長吉……三河屋の小僧
佐々波金十郎……三河屋の客分
成滝勇之進……近江の息子
お角……三河屋の下女

用語集

舎利……火葬にした骨
雑俳……遊戯的な俳諧
逐電……素早く逃げて行方をくらますこと
銷磨……すりへること、なくなること
八幡しらず……八幡のやぶしらず。ふみいれると二度と出てこられなくなる、という禁足地のこと
御方便……好都合なこと。 まわり合わせのよいこと。
五つ半……午後九時
四つ……午後十時
軽捷(けいしょう)……身軽ですばやいこと
左封じ……書状の封の仕方で、凶事に用いる
篤志家(とくしか)……社会事業などに、協力援助をするようなひと
利分(りぶん)……利子。利息。利益となる部分。
口銭(くちせん、こうせん)……仲介手数料、運送料、保管料などのこと
雀色時(すずめいろどき)……夕暮れ時

昵懇……ジッコン・親しく打ち解けて付き合うこと。懇意。
懊悩……オウノウ・悩みもだえること。煩悶
亥の刻……四つ・午後十時

 

その五 振袖源太

 福屋善兵衛の子どもが、一人ずつ五のつく日に行方不明となっていく。平次は、責任を感じて身投げをしようとした番頭を救ったことから、事件にまきこまれていく。

用語集

 手練……シュレン・熟練した手際
 丁稚……デッチ・商家などに年季奉公をする少年。
 奢侈……シャシ・度を過ぎて贅沢なこと
 僭上……センジョウ・身分を超えて出過ぎた行いをすること。分を過ぎた贅沢をすること

登場人物

 振袖源太……江戸で人気の軽業師
 福屋善兵衛……呉服屋
 お清……善兵衛娘
 お糸……善兵衛娘十六
 英三郎……善兵衛息子六つ
 お滝……善兵衛後添い
 お千代……女中
 嘉七……大番頭
 石原の利助……御用聞き

 

その六 大盗懺悔

 お江戸で評判の盗人風太郎。三日以内に盗んだものをかえすのだが、お上は威信を賭けて、捕縛を命ずる。
 平次は笹野新三郎の命を受けて、捜査にのりだすが、そんな平次をあざ笑うように、風太郎は華麗に物を盗んではかえすをくりかえす。

登場人物

 風太郎……江戸を騒がす大泥棒。盗んだものをかえすことで、一躍有名となる。
 上総屋重兵衛……質屋の主。風太郎の被害にあう。
 繁野友白……茶人・茶碗を盗まれる。
 赤井左門……旗本二千八百石。千両箱二つとられる。
 足尾喜内……用人
 珊五郎……遊び人

用語集

 八重……ヤエ・数多く重なっていること。
 豊太閤……豊臣秀吉の敬称
 土壇場……処刑のために築いた土の壇。前に穴が掘られた。決断を迫られる最後の場面。進退窮まった状態
 鐚銭……ビタセン・室町中期から江戸初期まで私鋳された、粗悪な銭。私鋳銭。
 青銭……アオセン・寛永通宝四文銭の通称。材質が真鍮で、一文銭にくらべて青白くみえた。平次は一文銭より重量のある青銭をなげていたと思われる。
 名題……名題看板、名題役者の略
 宗匠……ソウショウ・文芸技芸に熟達して、人に教える人のこと
 過怠……過失。てぬかり。
 番手桶……掃除などに使う粗製の手桶。
 新身……アラミ・あたらしく鍛えた刀。
 後生気……ごしょうぎ。来世の安楽をねがい、功徳をしたいと願う心。

その七 呪いの銀簪

■登場人物
金兵衛……幇間
布袋屋萬三郎……駒形の材木問屋
お才……踊りの師匠
直助……船頭

■用語集
幇間……ホウカン・宴席などで、客の機嫌を取る男芸者
初更……ショコウ・午後七時または、八時からの二時間をさす
豁然……カツゼン・視野が大きく開けるさま。心の迷いや疑いが消える様
口吻……コウフン・物の言い方。話しぶり。

その八 幽霊にされた女

■登場人物
お雛……近江屋の小町娘
近江屋治兵衛……質両替屋
お豊……治兵衛の妻
兼吉……近江屋の小僧
観相院……占い師
轟の権三……化け物屋敷の工業元

■用語集
苦患……苦悩
目抜き……中心地
堂宮……寺や社
蘭塔……卵型の塔身を載せた墓石
白張……平安時代に下級役人によって着用された衣装
秋色……秋らしい趣
物日……祝い事や祭りなどが行われる日

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