新連載開始! 吉川英治の名作「新編忠臣蔵」を全文朗読中!

忠臣蔵目録

こちらでは、朗読「新編忠臣蔵」の掲載(下記)ともに、史実の中の忠臣蔵についても少しばかりご紹介を。

四十七士と享年

寺坂吉右衛門信行……享年83。討ち入り時は39。吉田忠左衛門の奉公人。四十七人目の義士と呼ばれる。事件の記録「寺坂信行筆記」を残す。
堀部弥兵衛金丸……事件時は隠居の身。享年77
間喜兵衛光延……享年69。無口にして誠実。長男、次男も討ち入りに参加。
村松喜兵衛秀直……享年62。事件時は江戸にいたものの、仇を討つべく赤穂へ。盟約に参加する。
吉田忠左衛門兼亮……享年63。容貌魁偉だが、人望厚かったという。
間瀬久太夫正明……享年63。厳格な男。
小野寺十内秀和……享年61。愛妻家。
奥田孫太夫重盛……享年57。直新陰流の達人で、安兵衛とは同門。
原惣右衛門元辰……享年56。父親が元米沢藩上杉家の家臣。
貝賀弥左衛門友信……享年54。吉田忠左衛門の実弟。
千馬三郎兵衛光忠……享年51。剛直な性格で、内匠頭とは、折り合いが悪い。でも参加。
木村岡右衛門貞行……享年46。漢詩、漢文が得意。
大石内蔵助良隆……家老。享年45。性格温厚で、人望が厚かった。
中村勘助正辰……享年45。書にすぐれた人物。赤穂城の残務処理でも活躍。
菅谷半之丞政利……享年44。山鹿流兵学を修得ずみ。
早水藤左衛門満堯……享年40。弓の達人。
前原伊助宗房……享年40。商人に化けて、吉良亭を偵察。
岡島八十右衛門常樹……享年38。惣右衛門の弟。
神崎与五郎則休……享年38。伊助の店の手代に化ける。
片岡源五右衛門高房……享年37。内匠頭の近習。遺言を託される。
横川勘平宗利……享年37。吉良邸の茶会の日時を探り出す。
茅野和助常成……享年37。津山藩から追放されたが、内匠頭にひろわれる。恩に報いるため参加。
三村次郎左衛門包常……享年37。身分が低かったため、内蔵助に直訴して、参加している。
赤埴源蔵重賢……享年35。講談では酒豪。ほんとは下戸。
潮田又之丞高教……享年35。内蔵助とは、剣術道場の同門。妻は内蔵助の叔父の娘。
不破数右衛門正種……享年34。内匠頭の勘気に触れて、浪人していたが、盟約には参加。
富森助右衛門正因……享年34。十四才からの小姓。
堀部安兵衛武庸……享年34。高田馬場の決闘で、江戸市中に名をはせた。
近松勘六行重……享年34。知略と人望を兼ねた人物。
倉橋伝助武幸……享年34。内匠頭より、広国の名刀を拝領。討ち入りに持参する。
武林唯七隆重……享年32。孟子の血筋という説あり。
大高源吾忠雄……享年32。母は小野寺十内の実の姉。
矢田五郎右衛門助武……享年29。討ち入り時には、刀を折りながら、敵の刀を奪って激闘。
吉田澤右衛門兼貞……享年29。忠左衛門の三男。が、兄の早逝で、嫡男。
杉野十平次次房……享年28。母が富豪で、資産を売却しながら、仲間を支えた。
小野寺幸右衛門秀富……享年28。大高源吾の弟。
間十次郎光興……享年26。喜兵衛長男。剣と槍に優れ、上野介にとどめをさす。
奥田貞右衛門行高……享年26。近松勘六の異母弟。孫太夫の婿養子。
磯貝十郎左衛門正久……享年25。内匠頭の小姓であった。遺言を託される。
岡野金右衛門包秀……享年24。小野寺十内の甥で、養子となった。
勝田新左衛門武堯……享年24。剣の腕は、安兵衛、十平次に次ぐ。
間新六光風……享年24。喜兵衛の次男。幼少時に里村家の養子となったが、出奔し姉の嫁ぎ先に身を寄せていた。討ち入りには参加。
間瀬孫九郞正辰……享年23。久太夫の嫡男。
大石瀬左衛門信清……内蔵助の遠い親戚。享年27。
村松三太夫高直……享年27。父の命にあがらい、盟約に参加する。
矢頭右衛門七教兼……享年18。父の病没後、遺志を継ぐ形で参加。
大石主税良金……内蔵助長男。享年16。身長170以上の偉丈夫

吉良上野介と高家の話

■吉良上野介と高家

 江戸幕府の儀式典礼を取り仕切った高家ですが、古くは「名門の家」をさし、この「高」は、室町幕府の開祖、足利高氏の一字をさします。つまり足利将軍の血をひいた家のことで、吉良家は足利将軍の連枝でもありました。
徳川家康は、故事、儀式、儀礼に詳しいことの人たちを取り立てたわけですが、将軍継承権をもつほどの名門でもありました。上野介の曾祖父は、三千二百石を与えられて高家となり、以降、世襲の役職となりました。刃傷事件の際には、高家筆頭であり、かなりの立場であります。

 この家柄の良さが、綱吉の刃傷裁きに影響を与えたのかは、わかりませんが、梶川与惣兵衛の「上野介が脇差しに手をかけず、抜き合わせもしなかった」という証言があったため、幕府は刃傷を喧嘩とは
みなしませんでした。

 幕府は事件の発端は内匠頭の乱心にあると考えたため、上野介の治療も幕府負担で行おうとしますが、目付などの主張から、乱心にあらずと見解を変更し、治療の方針は変更されました。内匠頭は、乱心ではなく、恨みをもってのこと、という主張は認められたわけですね。

忠臣蔵とお金

赤穂藩改易のこと

いよいよ、吉良方、赤穂方の争いが激化している忠臣蔵ですが、今回は、大石内蔵助——赤穂藩と、お金にまつわる話。

 残念ながら取り潰しとなった赤穂藩。作中にもあるように、藩札(赤穂藩発行のお金)を銀にかえる必要が出てきました。藩がつぶれれば、藩札などは紙切れになるので、商人たちが札座(藩札と現銀の交換を行う所)に押し寄せます。藩札は普通、領内でのみ、流通するものですが、赤穂藩は財政潤沢、信用も高かったので、周辺の藩にも出回っています。
 改易とあいなった赤穂藩の藩札——その総額は、銀九〇〇貫目——といってもよくわからないので、現在の紙幣に換算すると、約十八億円。これ、藩の年間予算と同額だそうです。

 大石は六分——6割で交換することを布告します。不平をいう商人も当然いたそうですが、なんともしようがない。ちなみに、集めた藩札は城内で償却したそう。むなしいもんです。

 

今後の、配信予定

■配信予定
一、浅野内匠頭
二、赤穂早打帳
三、五日韋駄天記
四、赤蓼草紙
五、立つ鳥の記
六、米沢後詰    
七、高田郡兵衛   
八、山科普請
九、水調子夜船話   六月三日配信
十、京伏見廓細見     十日配信
十一、松坂町界隈     十七日配信
十二、吉良殿長屋     二十四日配信
十三、元禄人間図絵  七月一日配信
十四、討入炬燵孫子    八日配信
十五此一期・月雪花    十五日配信
十六、吉良方義士     二十二日配信
十七、武士は泣くもの   二十九日配信
十八、上杉家不戦始末 八月五日配信
十九、泉岳寺炉辺話    十二日配信
二十、細川家義士夜話   十九日配信

新編忠臣蔵 登場人物

浅野内匠頭……赤穂浅野五万三千石の藩主
栗姫……内匠頭の内室
大石内蔵助
お陸……内蔵助の妻
大石主税……内蔵助の子息
吉千代……大石家の次男
おるり……内蔵助の娘

富森助右衛門……馬廻り兼使い役。四十七の一人。寛文十年。1670年生まれ。
神崎与五郎……徒士目付け。四十七士の一人。1666年生まれ。
片岡源五右衛門……側用人。四十七士の一人。1667年生まれ。
奥田孫太夫……納戸頭。四十七士の一人。大太刀の使い手。1647年生まれ。
堀部安兵衛……高田馬場で武勇を上げた四十七士の一人。1670年生まれ。
磯貝十郎左衛門……物頭並。四十七士の一人。1679年生まれ。
村松喜兵衛……四十七士の一人。1642年生まれ。
赤埴源蔵……四十七士の一人。1669年生まれ
萱野三平……討ち入りの前に忠孝の狭間で自刃した藩士。1675年生まれ。
早水藤左衛門……四十七士の一人。1664年生まれ
横川勘平……四十七士の一人。1667年生まれ。徒目付。
間瀬久太夫……四十七士の一人。1641年生まれ
三村次郎左衛門……四十七士の一人。1667年生まれ
前原伊助……四十七士の一人。1664年生まれ
勝田新左衛門……四十七士の一人。1680年生まれ
岡島八十右衛門……四十七士の一人。1666年生まれ
吉田忠左衛門……四十七士の一人。1640年生まれ
小野寺十内……四十七士の一人。1643年生まれ

大野九郎兵衛……末席家老
藤井又左衛門……江戸家老
安井彦右衛門……江戸家老
外村源左衛門……番頭400石
田中貞四郎……長矩の近習。
お妙……侍女
良雪和尚……大石に心酔する和尚
四郎右衛門……旅籠の紙屋
八助……大石家につかえていた老僕

吉良上野介……高家の一人。浅野に
富子……吉良夫人
左兵衛……吉良の子息
左右田孫兵衛……吉良の用人
斉藤宮内……家老
清水一学……吉良家の中小姓。芝居講談では、二刀流の達人とされている。
小林平八郎……吉良家の家老。葛飾北斎の祖父という伝承もある。

伊達左京介……浅野とともに、饗応役をおおせつかる。

徳川綱吉……将軍職五代
桂昌院……綱吉の生母
柳沢吉保……幕府側用人
護持院隆光……僧
梶川与三兵衛……桂昌院づきの用人。事件の仔細を日記に残した。
多門伝八郎……内匠頭の取り調べと切腹の検死役をつとめた。「多門筆記」を残す。
関久和……お坊主

第一話「浅野内匠頭」

宮本武蔵の完結を受けて、今週からは、同じ吉川英治先生の名作、「新編忠臣蔵」を読み始めたいと思います。
 連載第一回は、浅野内匠頭が、松之大廊下で、吉良上野介に斬りかかるまでを収録。

■宮本武蔵再生リスト
https://www.youtube.com/watch?v=6Kgo0k3pwVY&list=PLbLffmEwTDpptSATwqE3PtoxHMFPk5voQ

■用語集
大川口……オオカワグチ・大きな河が、海や湖に注ぐところ
山鹿素行……江戸時代前期の儒学者。赤穂に流されたが、後に許されて江戸に帰った。
風炉……フウロ・茶釜を火にかけて湯を沸かすための炉
さだめし……おそらく。きっと、
吉事……縁起の良い事柄
接伴……セッパン・客をもてなすこと
帝鑑の間……将軍が白書院に出て、諸侯を引見する前に、詰めた部屋。
参向……サンコウ・高位の人のところへ出向くこと
堂上方……朝廷を形作る人々。公家
余人……他の人
高家……コウケ・名門。格式の高い家
拝受……受けること
手足……シュソク
婦徳……フトク・女子の守るべき特技
鍋鶴……ツル科の鳥
音物……インモツ・
束脩……ソクシュウ・入門するときにもたせる謝礼
狂濤……きょうとう・物価株価などが非常な勢いで上がること
俗吏……ゾクリ・役人をあざけっていう
猥画……ワイガ・春画
故実……コジツ・先例となる事例
大賓……タイヒン・賓客
内室……ナイシツ・他人の妻を敬っていう。
洒然……あっさりして、物事にこだわらないさま
微賤……ビセン・地位・身分が低くいやしいこと
素襖……スオウ・単衣仕立ての直垂・室町に成立。江戸時代に礼服となった。
怪味……かいみ・ここちよさ。

■この動画の目次
0:00 つなぎ舟
6:07 奉書登城
11:32 若き太守
18:49 吉良家往来
26:30 人間相場
36:03 素朴と毒舌
42:39 墨絵
54:09 うら・おもて
1:02:18 面影の水 
1:10:32 百忍一断

第二話「赤穂早打帳」

■連載第二回
 大事な式日を穢したことで、綱吉を立腹させた内匠頭。即日の切腹という重い処分が下る。

■伝送屋敷
 今回の配信では、浅野家の家臣団が、伝奏屋敷から、諸道具をひきあげるシーンが出てきます。伝奏屋敷は、武家伝奏(公卿)が、京から江戸に出てきたときの宿舎。ふだんは空き家です。勅使や院使が江戸にきたときも、宿舎となりました。饗応役の内匠頭も、役宅にして詰めていたので、食器などを引き上げる必要がありました。 

■用語集
喪神……ソウシン・放心、気絶
柳営……リュウエイ・幕府
名聞……ミョウモン・世間での評判。
賞賜……ショウシ・功績をたたえて、物を与えること
曲直……不正なことと正しいこと
偏波……ヘンパ・不公平
倨傲……キョゴウ・おごり高ぶること
諭告……ユコク・口頭で諭し告げること
紛乱……フンラン・混乱。
罪囚……ザイシュウ・囚人
夕星……ユウズツ
幽室……ユウシツ
直諫……チョッカン・遠慮なくいさめること
贅言……ゼイゲン・無駄なことを言うこと
股肱……ココウ・主君の手足となって働く、腹心
仁恕……ジンジョ・相手を憐れんで罪を許すこと
生害……自害

■この動画の目次
0:00 呉越同室
5:56 有情・無情
14:01 残る恨みは
19:54 梶川懺悔
26:11 清流と濁流
34:08 春の雷
41:42 一番早駕
46:37 凶変戦
56:11 田村屋敷 
1:02:20 水裃
1:09:40 風さそう
1:15:41 帰る鴛鴦

第三話 五日韋駄天記

 

■連載第三回
 国元へ! 事件を知らせるために、早水藤左衛門と萱野三平は、ひたすら駕籠を急がせる。だが、道中には吉良の領地があって、吉良を慕う領民が浅野の駕籠をまちかまえていた。
 吉川英治がおくる大河ドラマの傑作新編忠臣蔵。全文朗読いたしております。

 

■用語集
立場……タテバ・江戸時代に五街道や、脇街道に設けられた。宿場と宿場の間にある。杖を立てて、一休みしたことから。
嶮路……ケンロ・険しい道
雲助……ウンスケ・荷物の運搬や、駕籠かきなどをしていた無宿の者のこと
與中……ヨチュウ・輿の中
音吐……オント・声音
里程……リテイ・みちのり
痛心……心を痛めなやますこと
苛税……カゼイ・重すぎる税
助郷……スケゴウ・宿場周辺の村落に課された夫役のこと。
駅路……ウマヤジ・宿駅のある街道
暁暗……夜明け前に、月がなく辺りが暗いこと

 

第四話 名水説法

 

■用語集
微醺……ビクン・ほんのりと酒に酔うこと
暁暗……夜明け前の暗さ
笄……コウガイ・かんざし
土用波……夏の土用の頃の大波
鍾愛……ショウアイ・大切にしてかわいがること
三竿……サンカン・日や月が高く昇ること
札座……フダザ・サツザ・江戸時代、各藩で藩札の発行を司った役所
今暁……コンギョウ・今日の早朝
軽忽……ケイコツ・軽はずみなこと
衆座……シュウザ
突忽……トツコツ・突然
優じょう……天子のありがたい言葉
弁疏……ベンソ・言い訳をすること
践祚……センソ・皇位の継承
愁眉……シュウビ・心配のためにしかめる眉
敏活……頭の働きや行動のは素早いこと
軽子……カルコ・担ぎ人足
労銀……ロウギン・労働の賃金
対蹠的……タイショテキ・二つの物事が正反対の関係にある様
藁苞……ワラヅト・藁を束ね、中へ物を包むようにした物
大夫……タイフ・大名の家老を敬って云う語
山鹿素行……儒学者
烏鷺……ウロ・烏と鷺。白と黒。囲碁のたとえ
夢寐……ムビ・夢
馬匹……馬のこと
微衷……ビチュウ・自分のまごころ本心をへりくだって云う
烏滸……オコ・愚かなこと
高義……コウギ・高く優れた道義
向背……コウハイ・従うことと背くこと

 

第五話

■連載第五回(全二十回)
 今回は、赤穂城の≈開城のお話です。史実の赤穂藩でも、この城受け渡しでは混乱があったようで、なにせ、赤穂藩士たちにとっての主君は浅野内匠頭で幕府ではない。幕府の命令とはいえ、主君の命令もなしに、城を明け渡すことは出来ない。
 幕府では、浅野家の縁戚をつかって、説得させたりした。家臣が籠城などしたら、一大事になるため、骨を折ったらしい。
 問題は、大石らが、上野介の存命を知らなかったことで、江戸の家老たちは、吉良の生死を伝えなかった。江戸からきた、一陣二陣の死者も、江戸を出る時点では、吉良がどうなったのか、知らなかった。赤穂に、吉良生存の報が伝わったのは、三月下旬。

 赤穂城は特に、内匠頭の祖父が幕府の許可を得て建てた物で、家臣にとっても思い入れが深かった。大石は殉死を主張したが、いわゆる追い腹が禁止されたのは、この事件の二十八年ばかり前のことで、大石らにとっては、殉死はまだ身近な物だった。大石の切腹論に賛同したものは六十人。起請文まで書いている。
 さて、物語の忠臣蔵では——?

■用語集
堂上……公家のうち、清涼殿へあがれる家柄。または、公家になれる家柄。
糊塗……コト・その場しのぎで取り繕うこと
老台……ロウダイ・老人や年長者をあやまっていう。
世故……セコ・世間づきあいのさまざまの事柄
頑然……強情、頑固
愚挙……グキョ・愚かな企て
沛雨……ハイウ・激しく降る雨
金子……キンス・通貨
神文……起請文。神に誓約する文
諭告……ユコク・口頭でさとし告げること
右顧左眄……周囲の意見ばかり気にして、自分の態度をなかなか決めないこと
粗献……ソコン
荷梱……ニゴリ
際会……サイカイ・重大な事件や時期にたまたまであうこと
後図……コウト・将来のための計画
使僧……シソウ・使者として遣わす僧
便船……都合良く出る舟

第六話 米沢後詰

■用語集
一竿……イッカン
戒心……カイシン・油断しない、用心すること
臣籍……シンセキ
薄荷糖……砂糖に薄荷の香りをつけて煮固めた菓子
社稷……シャショク・
沈湎……チンメン・しずみおぼれる
軒昂……ケンコウ・いきがたかくあがるさま。奮い立つ様
万夫……多くの男。多くの武士
顔……カンバセ

 

第七巻 高田郡兵衛

■用語集
上布……ジョウフ・夏の衣服に用いる高級な麻織物
音物……インモツ・おくりもの
起臥……キガ・起きることと寝ること
舳……ミヨシ・へさき
艫……トモ・舟の後尾
貴紳……キシン・身分と名声のある男子
陋劣……ロウレツ・いやしく軽蔑すべきであること
嘲殺……チョウサツ・笑止すること
鎮撫……チンブ・反乱や暴動を鎮め、民を安心させること
恩遇……オングウ・情け深いもてなし
宿志……シュクシ・兼ねてから抱いていた志
横口……ヨコグチ・横から口を挟むこと
大風……オオフウ・横柄。気持ちが大きくこせこせしないこと
声涙……セイルイ・声となみだ
下話……シタバナシ・事前の打ち合わせ
黙契……モッケイ・無言の内に合意が成り立つこと
夏書……ゲガキ・経文の書写
無音……ブイン・音信が途絶えること
憤恨……フンコン・腹を立てて恨むこと
通牒……ツウチョウ・書面で通知すること

 

第八巻 山科普請

■用語集
終日……ヒネモス
さなきだに……ただでさえ
惨心……サンシン
宿志……シュクシ・かねてから抱いていた志
軽微……ケイビ・被害損害などが僅かであること
対顔……タイガン・顔を合わせること
細作……サイサク・忍びの者
池田久右ヱ門……大石内蔵助の変名
手斧……チョウナ
神代杉……水中、土中にうずもれて長い年月を経過した杉材

 

第九巻 水調子夜船話

苫……トマ・菅や茅などを、荒く編んだむしろ。雨露をしのぐのに用いた。
厳父……ゲンプ・厳格な父。他人の父をうやまって言う語。
香華……コウゲ・仏前に供える香と花
傾城……ケイセイ・絶世の美女
慨然……ガイゼン・心を奮い起こす様。憤り嘆く様
女衒……ゼゲン・女を遊女屋などに売ることを生業とする人
東雲……シノノメ・夜が明けようとして東の空が明るくなってきた頃。あけがた。

 

 

第十巻 京伏見郭細見

■用語集
前栽……センザイ・植え込み
宿酔……シュクスイ・二日酔い
茶事……チャジ・チャゴト・寄り集まって茶を飲むこと
徒食……トショク・働かないで遊び暮らすこと
口金……クチガネ・器物の口につける金具
鉄心石腸……いかなる困難にも負けない、鉄や石のように堅固なセイシン
惰気……だらけた気分
雲水……ウンスイ・行方を定めない修行僧
滂沱……ボウダ・なみだがとめどもなく流れ出る様
些事……サジ・取るに足らないつまらないこと
角前髪……元服前の少年の髪型
道念唄……江戸時代の流行唄。京都の道念山三郎という木遣の音頭取りが歌い始めた
末社……マッシャ・宴席で、客の座興をとりもつことを業とする男
老妓……ロウギ・年を取った老妓
哀寂……アイジャク
啾啾……シュウシュウ・小声でしくしくと泣く様
醜行……シュウコウ・恥ずべき行為
孤愁……コシュウ・一人で物思いにふけること
稚気……チキ・子供のような気分
佞臣……ネイシン・口先巧みに主君にへつらう、よこしまな臣下
書肆……ショシ・書店、本屋
痛涙……ツウルイ
阿諛……アユ・顔色を見て、相手の意に射るよう振る舞うこと
けだし……たしかに
巣父許由……きよらかで正しい行い
時弊……ジヘイ・その時代の悪習や弊害
吾人……ゴジン・仲良くすること。わたくし
さはあれ……そうではあるが
桎梏……シッコク・人の行動を厳しく制限して、自由を束縛するもの
露命……ロメイ・露のようにはかない命
忍苦……ニンク・仲良くすること。苦しみ耐え忍ぶこと
風炉……フウロ・茶釜を火にかけて湯を沸かすための炉
果然……カゼン・予期したとおり、はたして、案の定
密旨……ミッシ・秘密の命令
光風霽月……コウフウセイゲツ・爽やかな風と冴え渡った月

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