奥州二代目彦六一家

奥州二代目彦六一家

 医学の心得がある忠次郎が、仁助を診た。
 彦六も無事、次助も片付き一安心と云いたいところだが、問題は斬られた仁助である。
 彦六たちは仁助を板に乗せ、屋敷に連れ戻した。
 忠次郎が玄関に飛び出してきた。傷をあらため、「座敷に運べ」と、わめいた。これは助かる見込みがあるということだ。
 文悟が彦六の隣につっと立った。
「今日はいささか無茶がすぎやしたぜ」
 怒りをはらんだ声だった。
 黒田彦六は端然としている。
「これからもっと無茶をやる」
「えっ?」
 意表をつかれて文悟は唖然となった。そのうちに、彦六は土手を西へと歩き始めていた。

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