
過去作品
- 2019年10月5日
- 2020年2月24日
ファイヤーボーイズ
消防官の文吾は、異様な火災現場に遭遇する。火種もないのに、超高温にかした部屋。黒ずみと化した両親。 そんななかで、汗ひとつかかずに立ち尽くす三歳の幼児。少年は両親に虐待を受け、ファイヤースターターの能力を開花させていた。 文吾の目の前で、高橋は消防服の内側で生身を焼かれるという悲惨な死に方をしてしまう。文吾たち現場にいた消防官は、少年の力を疑うが、上司らは誰も信用しない。事件は未解決のまま、少年は親戚の家に引き取られる。 文吾たちは少年の身元で事件が起きはしないかと注意を払うのだが。 そんな中、第二の火災という最悪の事態が勃発してしまう。 文吾たちは廃校で少年と対峙する。トランス状態と化した少年は、文吾らにも耳をかさず、攻撃をしかけてくる。消防官対ファイアースターターの戦いがはじまる。
- 2019年10月5日
- 2020年2月24日
講釈西遊記
「お前も托羽にさえ見初められなければこんなことにはならなかったのにねぇ」 羅刹女が口許をゆがめ語りかけてくる。 「あながちそうとも言えぬ。こうしてお主たちの悪業を食い止めることができるのだからな」 三蔵の言葉に、羅刹女は声をけたてて笑った。 「おかしなことをいうじゃないか。東大寺で、宝玉を奪われるのさえ止められなかったお前たちに、止められるかねぇ」 「止められるとも、私と弟子がさせるものかっ」 三蔵の腹の据わりように、羅刹女の目が冷えた。 「気に入らない女だね。女はふるえるぐらいがいいのさ」 「手前は出家の身だ。女も男もない」 「じゃあ、なぶり殺しにしても、かまわないね」
- 2019年9月26日
- 2020年2月24日
ナーシェルと不思議な仲間たち
ドードー鳥はデヨニール三世にとられてしまった。ナーシェルは生まれた時から一緒だった友だちがいなくなって、さびしいらしい。 ナーシェルたちだけでは、とても森はぬけられそうになかった。どこかで足をふみはずして、濁流におちこんでおしまいである。 みんながだまりはじめてしまったとき、 「うおー、うおー!」 なにやら腹の底にひびくような声がとどろいてきた。 「家政婦長が飯をつくってるんだよ」 とトラビスが説明した。 飯をつくるのに、なんでほえるんだ? と、ナーシェルたちはおもったが、あの家政婦長ならやりそうだった。なにせきちがいなのだから……。
- 2019年9月25日
- 2020年2月24日
ホラーハウス
その小さな家は、昔からわたしの住む町に建っていた。 大人たちは誰もその家を気にしなかった。目にとまることさえなかったように思うのだが、敏感なこどもたちはみんなその家をこわがっていた。とくに神社に神聖なものを感じたり、朝靄や夕暮れにきらめきを感じるようなこどもたちは。そうしたこどもたちは犬や猫の気持ちがなんとなくわかる。なにかの拍子には、目に見えない物が見えるようにもなる。なにか……きっかけさえあれば わたしがその家の外観を最後に目にしてから、二十年ばかりがたった。そのあいだ、あの家が――あそこにいた人たちが頭をはなれたことは一度もない。だから、子供たちには教えた方がいいと思うのだ。力のある場所はどこにでもあるし、噂になるには、理由があると。 そんな場所には、近づかないほうがけんめいだ。