【朗読】吉川英治 鳴門秘帖  ナレーター七味春五郎  毎週木曜夜八時配信中!

鳴門秘帖

大阪毎日新聞に1926年から連載された、長篇伝奇小説です!
 倒幕の陰謀、宝暦事件から十年。事件の真相をさぐるべく、阿波に潜入した公儀隠密「甲賀世阿弥」の行方は知れないままだ。
 世阿弥の行方をさがす男たちが、倒幕の密書〖鳴門秘帖〗をめぐって、闘争を繰り広げる一大絵巻。お聞きください!

総集編

  

登場人物

○法月 弦之丞 (のりづき げんのじょう)…… 主人公・大番頭の若様。
○甲賀 世阿弥(こうが ぜあみ) ……隠密組宗家。阿波に捕らわれている。
○見返りお綱(みかえりおつな) ……江戸のスリ。
○お千絵(おちえ)…… 世阿弥の娘。弦之丞に想いを寄せる。
○蜂須賀 重喜(はちすか しげよし) ……黒幕とされる徳島藩第10代藩主。
○天堂 一角(てんどう いっかく) …… 阿波の原士
○お十夜 孫兵衛(おじゅうや まごべえ)…… 辻斬り。元阿波川島の原士。ソボロ助広の大刀を使う。常に、風呂に入る時も、お十夜頭巾をかぶっている。
○旅川 周馬(たびかわ しゅうま)…… お十夜孫兵衛、天堂一角と共に法月弦之丞をねらう。お千絵に横恋慕しており、江戸の屋敷に監禁する。総髪でニキビ顔。
○俵 一八郎(たわら いっぱちろう)……天満組同心。宝暦の変の黒幕が蜂須賀家ではないかと進言し、阿波の内情を探っている。鳩使い。
○常木 鴻山(つねき こうざん)……元天満与力。俵一八郎の上役。宝暦の変の黒幕が蜂須賀家ではないかと進言し、阿波の内情を探っている。
○万吉(まんきち)……目明し。鴻山や俵の部下。十手持ち。
○平賀 源内(ひらが げんない)……作品では讃岐出身の医師として活躍する。
○竹屋 三位卿 有村(たけや さんみきょう ありむら)……徳島藩に居候している公家。行動的で頭も回り、武芸も得意である。宝暦事件の首謀者であった。
○三輪と乙吉(みわ と おときち)……角兵衛獅子の姉弟。
○唐草銀五郎(からくさぎんごろう)……江戸の瓦屋だが、傾く甲賀家とお千絵のことを心配し、世阿弥を探しに阿波に向かう。
○多市(たいち)……銀五郎の子分。孫兵衛に斬られ重傷を負う。
○お米……川長の娘。労咳を病む。
○お吉……万吉の妻
○九鬼弥助……阿波のお船手組。
○森啓之助……阿波のお船手組。
○宅助……啓之助の仲間
○たみ……お千絵おつきの女中

○紋日の虎……お綱の父
○お才……お綱の母
○半次……使い屋。お十夜らの部下

 

宝暦事件(ほうれきじけん)

 江戸時代中期におきた、尊王論者を弾圧した最初の事件。
 首謀者と目された人物から、竹内式部一件(たけのうちしきぶいっけん)とも呼ばれる。

 1758年(宝暦8)に京都で起きた。
 朝権回復を志す尊王論者・竹内式部らが処罰された。時代は九代将軍徳川家重の頃で、式部は京都を追放。この弟子の藤井右門という人が、江戸に逃れて山県大弐のやっかいになり、1767年の明和事件につながっていく。このとき、竹内式部は関与を疑われて、八丈島へ流罪。道中の三宅島で病死しています。
 
■山県大弐の活躍する、山本周五郎の「夜明けの辻」はこちら↓
https://youtu.be/Q9AbUKM73zY

■原士
 というのは、現実にあった職制のようで、郷士のようで郷士でなく、藩の在地家臣として、れっきとしたもの。当初は原侍ともよばれ、原地を賜ったことからきているらしいです。

一、上方の巻

 

第一幕

■用語集
酒瓶……チロリ
ぞっき……単一素材、生地。黒ぞっきは黒づくめか?
小褄……着物の褄
御寮人様……貴人の息女など、女性に対する敬称。若い妻の意味もある。
雑踏……ザットウ・人混み
野天……露天、家の外
風鳥……フウチョウ・スズメ目フウチョウ科の鳥の総称
印伝皮……羊や鹿の革をなめして染色し、漆で模様を描いたもの。印伝は、インド伝来にちなむとされる。
絶家……ゼッケ・家系が断絶すること
一縷……イチル・ごくわずか。ひとすじ
曙光……ショコウ・物事の前途に見えだした明るい兆し
右手……メテ・反対はユンデ
魔刀……マトウ
荷屋……ヌケヤ
鶏鳴……ケイメイ・夜明け。
究竟……クッキョウ・物事を極めた最高のところ。
紛紜……フンウン・もめごと
馥郁……フクイク・良い香りが漂っている様
そぼろ助広……摂津国の刀工。新刀上々作、最上大業もの
譴責……ケンセキ・しかりせめること
隠士……インシ・世俗を離れて静かな生活をしている人
長袖……チョウシュウ・公卿・僧侶などを嘲って言う
侮声……ブセイ
左手……ユンデ
蛇眼……ダガン
薬餌……ヤクジ・薬と食物
薬丹……ヤクタン
手下……テカ
炯眼……ケイガン・鋭い眼力
虚無僧……ボロンジ
尺八……タケ
呂律……リョリツ・ものをいうときの調子。
凄艶……セイエン・ぞっとするほどなまめかしいさま
喨々……リョウリョウ・音の明るく澄んで鳴り響く様
耳心……ジシン
苦患……クゲン
寒竹……カンチク
偵吏……テイリ・探偵を職務とする役人
浅酌……センシャク・ほどよく酒を飲むこと
凄風……セイフウ
銀釵……ギンサン・銀のかんざし
筥迫……ハコセコ・和装の女子がもつ箱型の紙入れ。懐に入れて持つ
憤声……フンセイ
間諜……カンチョウ
錵……ニエ・日本刀の刃と地肌の境に現れる模様
刃交……ハマゼ
囲繞……イニョウ・まわりを取り囲むこと
大輪……オオワ・大きな輪の形
玲瓏……レイロウ・美しく照り輝く様
情血……ジョウケツ
蠱惑……コワク・たぶらかすこと
狂恋……キョウレン
籬……マガキ・囲い、仕切り。垣根
瑠璃……ルリ・ラピスラズリ

■この動画の目次
0:00 夜魔昼魔
31:41 和蘭陀カルタ
49:10 天満浪人
1:11:43 一節切
1:44:18 恋の追分

第二幕

■用語集
麗人……レイジン・美人
やんごとない……高貴である
大供……オオドモ・大人
大様……オオヨウ・落ち着きがあって、小さなことにこせこせしない様
ガリ……攻めとがめること
雲助……クモスケ・宿場街道で、荷物運搬や駕籠書きなどの仕事をしていた人
胡麻の蠅……スリ
伝法肌……勇み肌の女性
痴蝶……チチョウ
鈴形……スズナリ
小股の切れ上がった……女性の足が長く、すらりとして粋な様
幽寂……ユウジャク・奥深くひっそりとして静かなこと
慟哭……ドウコク・悲しみのあまり声を上げてなくこと
陰森……インシン・薄暗くてものさびしいさま
衣桁……イコウ・衣類などを掛けておく道具
焼酎火……焼酎を布に浸してつけた火。歌舞伎で、幽霊や狐火の出る場面などに用いる
峨々……ガガ・山が高く険しいこと
水煙……塔の九輪の上にある火炎上の装飾
瞋恚……シンイ・おこること、いきどおること
妖冶……ヨウヤ・なまめかしく美しいこと
柳眉……リュウビ・美人の眉の例え
蘭瞼……ランケン・まぶた

■この動画の目次
0:00 阿波侍
10:20 そら寝の駆引
20:23 月夜の風邪
36:42 魔舌紅舌

 

第三幕

 

■用語集
麗人……レイジン・美人
やんごとない……高貴である
大供……オオドモ・大人
大様……オオヨウ・落ち着きがあって、小さなことにこせこせしない様
ガリ……攻めとがめること
雲助……クモスケ・宿場街道で、荷物運搬や駕籠書きなどの仕事をしていた人
胡麻の蠅……スリ
伝法肌……勇み肌の女性
痴蝶……チチョウ
鈴形……スズナリ
小股の切れ上がった……女性の足が長く、すらりとして粋な様
幽寂……ユウジャク・奥深くひっそりとして静かなこと
慟哭……ドウコク・悲しみのあまり声を上げてなくこと
陰森……インシン・薄暗くてものさびしいさま
衣桁……イコウ・衣類などを掛けておく道具
焼酎火……焼酎を布に浸してつけた火。歌舞伎で、幽霊や狐火の出る場面などに用いる
峨々……ガガ・山が高く険しいこと
水煙……塔の九輪の上にある火炎上の装飾
瞋恚……シンイ・おこること、いきどおること
妖冶……ヨウヤ・なまめかしく美しいこと
柳眉……リュウビ・美人の眉の例え
蘭瞼……ランケン・まぶた

■この動画の目次
0:00 阿波侍
10:20 そら寝の駆引
20:23 月夜の風邪
36:42 魔舌紅舌

第四幕

■用語集
狂浪……キョウロウ
しどろ……秩序なく乱れている様
八刻……ヤツ・一時から三時まで。
四更……シコウ・五更の四番目。午前一時、もしくは、二時からの二時間。
舞躍……ブヤク
行路……コウロ・いきていく道筋。
病葉……ワクラバ・病気や虫の為に変色した葉
金創……キンソウ・刀傷
不為……フタメ・ためにならないこと
六部……ロクブ・巡礼僧
棒鼻……ボウバナ・棒の端
鳥目……チョウモク・金銭の異称
心力……シンリョク
微傷……ビショウ
腹蔵……フクゾウ・本心を隠して表に出さないこと
侠血……キョウケツ
恨事……コンジ
兄弟……ハラカラ
惰夫……ダフ・意気地のない男
紀淡……キタン・紀淡海峡。紀州と淡路島の間
古松……コショウ
蘭字……ランジ
薬研……ヤゲン・生薬を粉末にする為の器具
心煩……シンボン・神経症
桂皮……ケイヒ・カシアの樹皮
火浣布……カカンプ・石綿をまぜて作った不燃性の布。日本ではじめて作ったのは、源内
紫煙……シエン・煙草の煙
蛇精亀血……ジャセイキケツ
文辞……ブンジ・文章の言葉
反帆……タンボ・船の大きさの単位

第五幕

■用語集
櫓韻……ロイン・櫓の音
軽舸……ケイカ・小舟
三衣袋……サンエブロク・三衣を入れて持ち歩く袋。ずた嚢
藁苞……ワラヅト・わらを束ね、中へ物を包むようにした物
如法暗夜……ニョホウアンヤ・本当の暗闇
乱松……ランショウ
須臾……シュユ・しばらく。しばし。少しの間。
洞然……ドウゼン
伊達小早……ダテコハヤ・赤や青で装飾した軽舟
楼船……ロウセン・屋形船のこと
気殺……キサツ
慷慨……コウガイ・社会の不正などを怒り嘆くこと
初更……ショコウ・仲良くすること。五更の第一で、現在の午後七時、または八時からの二時間。
短檠……タンケイ・室内用の灯火具
堂上……ドウジョウ・公卿の家格、清涼殿に昇殿を許されている。
耽読……タンドク・夢中になって、よみふけること。
素寒貧……スカンピン・全く金がないこと
赤心……セキシン・嘘偽りのない、まごころ
寂寥……セキリョウ・ものさびしいこと
這個……シャコ・これ、これら
帷幕……イバク・機密の計画を相談するところ。または、はかりごと
内諾……ナイダク・内々に承諾すること
帛紗……フクサ・方形の絹布。進物の上にかけたり、物を包んだりする。
かこち顔……他にかこつけて、怨み嘆いた顔
粉黛……フンタイ・化粧

第六幕

■用語集
水口……台所
鉄砲笊……細長い円筒形のざる
客死……キャクシ・カクシ・旅先または外国で死去すること
答え……イラエ
二天一作の五……九九の一つ。物を半分ずつにわけること
被布……ヒフ・着物の上にきる外衣
蠱惑……コワク・たぶらかすこと
チボ……関西などでのスリ・巾着切りの呼び方
三世相……占いの一つ。または、その結果を記した書物
水調子……三味線の弦をゆるくはり、調子を特に低くした物
紅舌……コウゼツ・美人の口元、弁舌
意馬心猿……いばしんえん・煩悩妄念などで、心が乱れること

 

第七幕

■用語集
薫梅……クンバイ
聞香……ブンコウ・聞き香
碧落……ヘキラク・青い空。
端厳……タンゲン・姿などが整っていて威厳のある様
夢寐……ムビ・眠って夢を見ている間
禍因……カイン・わざわいの起こる元
さはあれ……そうではあるが。されど
悩乱……ノウラン・悩み苦しんで心が乱れること
晦冥……カイメイ・暗闇
ならい……北風
火塵……カジン
落莫……ラクバク・物寂しい様
鏘然……ショウゼン・水の音がさらさらとうつくしく聞こえる様
いなさ……東南風
ちょぼいち……いんちき。でたらめ
陥穽……カンセイ・策略。わな。
けだし……まさしく。たしかに。思うに
耽溺……タンデキ・不健全な遊びに溺れること

 

第八幕

■用語集
火難……カナン・火事
獄吏……ゴクリ・監獄の役人
愛執……アイシュウ・愛する物に心がとらわれて離れられないこと
がんぜない……あどけないさま。無邪気なこと
放縦……ホウジュウ・思うままに振る舞うこと
池泉……チセン
馥郁……フクイク・よい香りが漂っている様
鳩渓……キュウケイ・平賀源内の雅号

 

第九幕

■用語集
榾……ホタ・小枝や木切れ
普化僧……フケソウ・普化宗の僧
木履……ボクリ・木靴
美言……ビゲン・巧みに飾った言葉
無人……ブニン・人が居ない。人手が足りない
行乞……ギョウコツ・托鉢
如月……キサラギ・陰暦二月
東風……コチ
四分一……シブイチ・銅三、銀一の割合で作られた日本固有の合金
さなきだに……そうでなくてさえ、ただでさえ
苦衷……クチュウ・苦しい心の内
上書……ジョウショ・上の者に、意見を述べる為の書面。
奸曲……カンキョク・心に悪巧みがあること
烏滸……オコ・おろか、ばかげていること
下問……カモン・自分より身分地位の低い者への質問
近所合壁……隣り近所
衷情……チュウジョウ・うそいつわりのない、本当の心
おばこ……少女
渺茫……ビョウボウ・遠く遙かな様
紙背……シハイ・文書に示されない、奥に隠された意味
魔魅……マミ・人をたぶらかす魔物
躁狂……ソウキョウ・浮かれ騒ぐこと

 

二、江戸の巻

第十幕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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