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持ち場を勝手に離れたことで、文吾たちはこっぴどくしかられたが、それ以上のおとがめはなかった。
長谷野辺小学校は、もう廃校だったし、校舎が破損したところで騒ぐものはいなかった。ともあれ、哲朗少年は保護されたのだ。
あの子が、自分のしたことを覚えているのか、文吾にはわからない。いまは、この町の福祉局に引き取られている。
また、火災はあるかもしれない?
火災はいつだってある。理由はどうあれ、火事場がなくなることは、たぶんないのだ。だから、消防官は訓練をおこたらない。
自分たちが駆り出される、そのときのために。