ファイヤーボーイズ

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 文吾は、口には出さないが、宮さんはあの子を疑っていると思った。文吾にとっては心強いことだった。
 三人は仕事に復帰し、平常通り、仕事や訓練をこなした。斉藤哲朗がいるはずの、本町には、たえず火災が起こらないか注意をむけていた。管轄外だが、いつ第二出場指令がかかるかわからない(出場指令のかかる消防署は、火災の規模に応じてふえる)。
 文吾は、たえまなく悪夢にうなされた。夢にみるのは、哲朗の目だった。五歳の子供ににらまれて、生身を焼かれる様は、夢とわかっていても恐ろしい。文吾は火事が起こらないことを願い続けた。彼らは、火災警報のたびに、一喜一憂することになる。
 そして、一ヶ月後、事件は起きた。

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