山本周五郎の連作短編! 赤ひげ診療譚

名作赤ひげ診療譚を全文朗読

 1958年(昭和33年)に『オール讀物』3月号から12月号に連載され、翌年には文藝春秋新社より刊行された。短編8篇からなりたっており、実在した江戸の町医者・小川笙船(おがわ しょうせん)をモデルに、新居去定を登場させております。若く野望にもえ、さらに恋の裏切りに傷ついた保元登が、この去定の元、多くの患者たちと交流しながら、人間として大きく成長していくヒューマンストーリー! 去定自身も当時の社会情勢に嘆き苦しみながらも、貧困にあえぐ町民を救おうと奮闘します。

 昭和三十三年といえば、著者自身、名作にして最後の歴史長編となった「樅の木は残った」を完結させた年。55才の山本周五郎、油がのっております。翌年にはラジオ東京テレビの山本周五郎アワーから、周五郎ブームがおきてくる。

 赤ひげ診療譚も、1960年のドラマ化、1965年。黒澤明が映画化したことを皮切りに、以降映像化舞台化されること数知れず! 最初の新居去定役は、言わずと知れた三船敏郎。さらにさらに保元登役には、若き加山雄三の二大タッグでおおはやり!

朗読は昨年全文朗読してしまったんですが、音声が悪いこともあって、再度朗読チャレンジしています!

第1回の朗読まとめは、前後編にわけて配信中!

再録版はこちらから

第一話 狂女の話

■登場人物
新出去定(赤ひげ)……小石川養生所の医長。信念と不屈の精神で、貧困無知に立ち向かう。
保本登……長崎へ遊学後、江戸へ戻るが、幕府のお目見医にはなれず、はからずも小石川養生所にほうりこまれる。当初は、赤ひげに反発していたが、その人柄にやがては惚れ込んでいき……
森半太夫……養生所見習医員。
津川玄三……養生所の医員。登と交替して養生所を出る。
お雪……養生所の賄所で働く。森を慕っている。
保本良庵……登の父。町医者。
天野源伯……幕府の表御番医。
天野ちぐさ……登の許婚者。
天野まさを……ちぐさの妹。
ゆみ……富豪の娘。人を殺め養生所の離れに隔離される。
お杉……ゆみの付添い女中。

■用語集
草本(そうほん)……本草学で、草の性質をもつ植物の総称
厳秘(げんぴ)……極秘
淫楽(いんらく)……みだらな楽しみ。色欲による快楽。
入費(にゅうひ)……物事をするのにかかる費用。
瓢(ふくべ)……ひょうたんの果実を容器としたもの。
本道……内科。
内障眼(そこひ)……眼病
施薬院(せやくいん)……貧しい病院に薬を与え治療した施設。
お侠(おきゃん)……若い女性の活発で慎みのないこと。
雪洞(ぼんぼり)……照明器具の一つ

第二話 駈込み訴え

六助……蒔絵師。おくにの父親。養生所で死ぬ。
竹造……養生所の小者。
おくに……六助の娘。夫の悪事を奉行所に訴える。
富三郎……おくにの夫。
とも……おくにの長女。
助三……おくにの長男。
おとみ……おくにの二女。
又次……おくにの二男。
藤助……奥に親子の家主。
金兵衛……木賃宿「柏屋」の主人。
松蔵……貸家の差配。金兵衛に子どもたちをひきわたす。
島田越後守……北町奉行。
岡野……同心の一人。

■用語集
腫脹(しゅちょう)……炎症などで、組織が腫れ上がること
転帰(てんき)……病気が進行した結果、ある状態に至ること
激昂(げっこう)……感情がひどく高ぶること。ひどく怒ること。
患家(かんか)……患者のいる家。
平服(へいふく)……ふだんぎ
薬籠(やくろう)……薬箱
半幅帯(はんはばおび)……通常の半分の帯幅の帯。
厭悪(えんお)……嫌い憎むこと。ひどく厭に思うこと。
悋気(りんき)……嫉妬

 

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