環境の雑学

海面上昇の誤解

 温暖化で、氷が溶けて、海水面が上昇。水没して困っている人たちがいる! となんとなく思っていたのですが、これってあたくしの勘違いだったみたい。調べてみるとわかる意外な事実を語りたいと思います。

 例えば北極。北極は、南極のような大陸ではなく、海、なのです。海が凍ってできたものなので、地図には、「ちゃんと」描かれていません。陸地がないため、冬の平均気温もマイナス二十度ほどです。氷の厚さも最大で三十メートル。

 この氷が溶けると、海水面が……と思ってしまいますが、アルキメデスの原理で、氷は溶けても、水面に変化はありません。水が氷になると体積が増えますが、その分浮力を受けているからです(押しのけた水の重さに等しい浮力を受けている)。

 とはいえ、大陸の上に存在する南極の氷は事情がちがうはず。

 事情がちがうのは、環境も、です。南極の冬は北極よりもうんと寒くてマイナス六十度まで下がります。氷の厚みは、最大4800メートル……このため南極周辺では、海が暖められても、蒸発した水は雪になって積もることになり、IPCCの報告でも、温暖化が進めば南極では、海水面が下がるとなっています。つまり、南極では、溶けた氷の量よりも、新しくできる氷の量の方が多い、のです。

国際的な専門家で作られた機関で、地球温暖化について科学的な研究の収集、整理をおこなっている。評価報告書を数年おきに発行。

 海水面が上昇するのは、氷解によるものではなく、海水の膨張によるとされています。水は温まることでも膨張するからです(氷は太陽光を跳ね返しますが、海水は熱を吸収してしまいます。また、北極海の温暖化は、他の地域より二倍のスピードで進んでいるとの報告も)。

WWFジャパン

ホッキョクグマは地上最大の肉食動物です。推定個体数は26,000頭。そのうち約60%がカナダに生息しています。ホッキョク…

 その水位の変化は百年で21〜48センチ。百年でこれだけなら、水没すんのかと思ってしまいます。でも、ニュースで見たしな……

 よく報道されるのが南太平洋は、エリス諸島のツバル。海水が島を浸食する様子がたびたび報道されていますが、このツバルは珊瑚礁でできた島で、海面すれすれです。第二次大戦中には、アメリカ軍が滑走路建設のため、島全体を埋め立てています。現在のツバルでの海水問題は、埋め立てでできた窪みからの湧き水、人が低地に住むようになったこと、生活排水により、砂が激減したこと、が原因となっているようです。ツバル気象中のデータでは、海水面は、9センチ下降という報告も出ています。海水面が下がるというより、地盤沈下が原因で浸食がおこっているようなのです。

 日本でいえば大阪は、年間二十センチばかり沈んでおり(地下水の大量使用が主因。ポンプの径を制限したり、深度500〜600メートルの深さから汲み上げるなどの対策がとられている)、国土交通省が堤防を建設したり、土地改良をしたりで海水の浸食を防いでいます。ツバルやヴェネツィアでは、この対策が不十分なので浸水が起こっている、といえるようです。

 

リサイクル

 環境に悪いのは、紙も同じなのです。再生紙は、収集にトラックを利用して、インクを取り除くなど、その作業には石油や化学薬品を使用します。新しい紙に比べると、再生紙には2倍以上の石油資源が必要となります。このため再生紙偽装事件などが起こる事態になってしまいました。

 再生年賀はがきには、古紙配合率が記載されていますが、40%の配合率のうち、実際の古紙使用率は、1〜5%であったというお粗末なものです。官庁購入の100%再生紙も、半分くらいの配合率しかなかったりもしました。

 日本の国土の約7割は森林であり、世界の三大森林国の一つとなっています。年間に使用した木の量を、成長した樹木の量で割ったものを森林利用率と呼びますが、これが日本は4割ほどです。日本以上の森林大国、スウェーデンやフィンランドでは、7割に達しています。乱伐は、よくないことですが、有効活用していない、結果輸入木材に頼っています。海外の材木は安いということもあるかもしれせんが、リサイクルで無駄なコストをかけるのなら、国内の森林を活用した方がよいといえるようです。

 紙の原料となる森林は製紙会社が保護管理をしており、需要が増えれば、保護された森林も増えるわけです。

リサイクル事情

捨てられた容器を有効活用するためのエコ法案、容器包装リサイクル法が制定されたのは、1995年――

ペットボトルのリサイクルは、1997年スタートで、思ったよりも最近の出来事です。

ただ、リサイクルしているから、と言う認識なのか、消費量は逆に跳ね上がってしまい、50万トンを優に超えるまでに膨れ上がっています。

この消費量を本当にリサイクルでまかなえているのかというとそんなことはなく、実際にリサイクルされているのは、6%ほどでしかなく、残りは焼却されたり、海外に売られたりしているのが現状です。

また、費用も莫大なものがあり、回収選別には、400億以上の税金が年間使われています。

ペットボトルを新品で作ると、二本分の石油がかかるそうですが、リサイクルで必要となるのは、3.5本――

リサイクルよりも燃やした方が効率的で、資源の節約にもなり、なんだかなあ、と思ってしまうリサイクル実情でした。

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