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母子像
占領期の日本を舞台にした、久生十蘭、晩年の短編
鈴木主水で、直木賞を受賞したのが1952年のことですので、その二年後に書かれたことになります。1955年には第2回国際短篇小説コンクールで第一席に入選しています。
本作は、サイパン島の集団自決を生き延びた、母子の戦後を描いた短編ですが、著者の久生十蘭自身、1943年に海軍報道班として従軍しており、南方での体験が生かされたのかもしれません。
■主要人物
太郎……本編の主人公。サイパンを生き残って内地に戻る。
ヨハネ……太郎の教師
母……太郎は愛してやまないのだが。
■用語集
向性……内向性か外向性かという、性格の傾向
煩悶……いろいろ悩み苦しむこと
野分……秋から冬にかけて吹く暴風
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