「お前も托羽にさえ見初められなければこんなことにはならなかったのにねぇ」
羅刹女が口許をゆがめ語りかけてくる。
「あながちそうとも言えぬ。こうしてお主たちの悪業を食い止めることができるのだからな」
三蔵の言葉に、羅刹女は声をけたてて笑った。
「おかしなことをいうじゃないか。東大寺で、宝玉を奪われるのさえ止められなかったお前たちに、止められるかねぇ」
「止められるとも、私と弟子がさせるものかっ」
三蔵の腹の据わりように、羅刹女の目が冷えた。
「気に入らない女だね。女はふるえるぐらいがいいのさ」
「手前は出家の身だ。女も男もない」
「じゃあ、なぶり殺しにしても、かまわないね」
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